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買い物難民を救う移動スーパー
今回は徳島発の素敵なビジネスモデルをご紹介します。
徳島県徳島市に本部を置く(株)とくし丸は車に乗れない、足が悪いなどの理由で”買い物難民”になった高齢者のために移動スーパー事業を展開しています。
買い物難民(*)…少子高齢化や過疎化などの影響により流通機能や公共交通網が弱体化したことによって、食料品や日用品など、生活必需品の買い物が困難な状況に置かれている人のこと。 全国に800万人以上いると言われている。
「とくし丸」というネーミングから、一見徳島だけの事業のように思えますが、違います。現在47都道府県で約1000台の「とくし丸」が走っています。
新型コロナの発生で高齢者が買い物に行きづらい状況となったことも、とくし丸の需要と認知度向上の追い風になりました。
以下の動画はとくし丸がふるさとづくり大賞を受賞された3年前に制作したものです。「素敵なビジネスモデル」の意味がわかりますので、ぜひご覧ください。
「国の表彰を受けても別にうれしくないですね」
とくし丸創業者の住友達也(取材当時は社長)さんへのインタビューはこんな感じで始まりました。
国の表彰の取材なので、なんて返せばいいのか困りました(苦笑)。同時に住友さんが強い信念を持っていることがよくわかりました。
取材後はもっと驚かされました。住友さんは食品宅配大手のオイシックス・ラ・大地にとくし丸をM&Aするよう自ら働きかけたからです。
理由は「自分がいなくなった後も会社を存続させる」ためと「発展を加速させる」ためです。
社長がワンマンでやってきた中小企業は後継者の問題がつきまといます。経営能力を持つ後継者がいなければ、事業は自分の代で終わります。
50歳を過ぎてから、とくし丸を一人で立ち上げた住友さんは後継者を育てる余裕はなかったと思いますし、そもそも後継者の育成はしないで、事業に注力するという経営戦略だったと思います。
住友さんは「早い段階から買収してくれる相手先を探していた」と話されていました。
また、オイシックスが経営権を持ってから、とくし丸の事業拡大は加速しています。住友さんのシナリオ通りとなりました。この大局観はすごいです。
現在住友さんはとくし丸の役員の一人として、新規事業開拓に取り組んでおられます。どんなビジネスをされるか、ものすごく興味あります。
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「何しようぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂え」
意味:何になろう、まじめくさってみたところで。所詮人生は夢よ。ただ面白おかしく遊び暮らせ
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