私の地域活動③「地域の番人」(富山県氷見市)
富山県氷見市八代地区。私にとって特別な地域です。2016年、総務省の「ふるさとづくり大賞」の動画制作をきっかけに、地域でさまざまな活動を行う八代環境パトロール隊の皆さんと懇意になりました。
八代環境パトロール隊の事業の中で最も国から評価されているのが、NPOバスの運行です。もともと、この地区では民間のバス会社が路線バスを運行していましたが、赤字のため撤退。その後、市営バスが走りますが、それも採算が取れず撤退。
そのため、地域住民が自らバスを経営することで、今日まで地域住民の足を守ってきたのです。
私は7年前の取材を通じて、行政に頼らない八代環境パトロール隊の姿勢に感銘を受けました。その後も年数回八代地区に通い、動画を制作し続け、自作のHPで情報発信を行ってきました。
取材者という第3者ではなく、関係者の一人として、地域活動に関わってきたつもりです。
今年の4月、八代環境パトロール隊が中心となり、1年がかりで作成された村史(八代庄のあゆみ)が完成しました。A4版168ページというボリュームで、平安時代から現代までの地域の歩みや神社、寺院、石仏、旧跡などを紹介しています。
印象に残ったのが、ふるさとを守ろうと、もがき苦しんできたこと、今なお日々戦っていることも、正直に伝えていることだと思います。
ちなみに、私も7年間の情報発信活動の集大成として、「明日に向かって」の章に寄稿させていただきました。
まさか遠く離れた地域の村史に自分の文章が掲載されるなんて、夢にも思いませんでした。感激です。
念願の村史刊行が終わった現在、八代環境パトロール隊を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。
NPOバスの経営を今後どうするか。市と話し合いを始めたのです。前述したように、これまで八代環境パトロール隊は行政に頼ることなく、自らの手で地域を守ってきました。
しかし、多くの隊員は80歳を超え、現実問題として引退を考える時期に入っています。特にNPOバスの事業は多くの地域住民の生活に関わるため、誰がどういう形で事業を受け継ぐのか、早く決めなければなりません。
市との話し合いは秋頃をめどに結論が出るそうですが、その結論は八代地区、氷見市はもとより、県外のNPOバスにも少なからずインパクトを与えると思います。私は微力ながら情報発信で「地域の番人」の応援を続けたいと思います。