2025年はオーラル・ヒストリー(口述歴史)に挑戦
遅れなせながら、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年は地域創生の最新事例だけでなく、日本の地域創生の考え方に大きな影響を与えた人の話を聞き取り、記録としてまとめることにもチャレンジします。いわゆる、オーラル・ヒストリー(*)ってやつです。
すでに昨年末から、東京大学名誉教授の月尾嘉男先生のオーラル・ヒストリーを進めています。
月尾先生は建築デザイン・設計におけるコンピュータ利用の草分け的存在。東京大学の工学博士でありながら、情報通信を活用したまちづくりや地域おこしを提唱し、全国各地に自身が塾長となった私塾を設立します。
2002年〜2003年は総務省の官僚ナンバー2のポストである総務審議官に民間から初めて政治任用され、大きな話題を呼びました。(大学教授から総務省幹部への転身は最初で最後の事例となった)
退任後は総務大臣の諮問機関である「ふるさとづくり懇談会」(ふるさとづくり大賞の審査を行う会合)の座長を長年務められたほか、地方自治体の審議会の委員等も歴任されます。
また、デジタルアーカイブという言葉を日本で最初に紹介・提唱した人でもあります。
私は2009年に月尾先生が発案された「優良放送番組推進会議(*)」という視聴率に代わる新しいTV番組評価の仕組みをつくるというプロジェクトで事務局員となり、初めて仕事をご一緒させていただきました。そのご縁で現在もご指導をいただいています。
(*)優良放送番組推進会議…テレビ番組の広告主数十社が参画して設立。報道、バラエティなど毎月一回テーマを決めて会員企業の社員がアンケートを行い、結果を公表。当時のテレビ業界にインパクトを与えた。
私の人生にさまざまな角度から影響を与えてくれた月尾先生のオーラル・ヒストリー。現在、生誕から丁寧に話を伺っているため、完成までどれくらいの期間がかかるか全くわかりませんが…ジャーナリストとしての新しいチャレンジを楽しみたいと思っています。
ちなみに、今回のオーラル・ヒストリーのために新しい武器を買いました。
Chat GPTと連携したAI録音機です。文字おこし機能が付いているので重宝しています。新しいテクノロジーは積極的に使っていきたいですね。
最後に、私がオーラル・ヒストリーに興味を持つきっかけについて、少しご紹介します。
昨年11月に亡くなったジャーナリストの大先輩、佐々木宏人さん(享年83歳。元毎日新聞経済部長)。メディア研究者・校條諭(めんじょうさとし)さんという方がnoteで数年前から連載していた佐々木さんのオーラル・ヒストリー「ある新聞記者の歩み」を私は毎回楽しみに読んでいました。
そこには、私が知らなかった佐々木さんの姿や昭和の新聞記者が生き生きと、リアルに語られていました。
佐々木さんからは、取材を受けた感想を時折聞かせていただき、「自分もこんな取材をやってみたい」と思うようになりました。
残念ながら佐々木さんは連載の最終回を迎える前に亡くなられましたが、そのオーラル・ヒストリーは一人の記者の足跡のみならず、時代やメディアの変化を映し出す貴重な史料となっています。
マスコミや新聞記者の仕事に興味のある方、ぜひ「ある新聞記者の歩み」を読むことをおすすめします!