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覚悟あるまちづくり(株式会社NOTE)
最近、雑誌や駅の広告などでよく目にする。ちょっと高級な古民家ホテル「NIPPONIA」(ニッポニア)を知っていますか?
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ホテル名のNIPPONIAはトキの学名に由来しています。一度は絶滅してしまったものの、多くの人の努力で復活したその姿に地域独自の暮らしや文化の復活を重ねている・・・そんな思いが込められているそうです。
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現在、NIPPONIAのホテルは全国に30以上あり、年々知名度を高めています。おもしろいのは、フロントと客室が地域に点在している分散型のNIPPONIAがあることです。
フロントで鍵をかりて、客室に移動するだけで、自然とまちあるきです。食事もホテルの中ではなく、地域の提携飲食店に足を運んでもらいます。まち全体をホテルと見立てているのが斬新です。
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このNIPPONIAを核として、新しいまちづくりの形を全国に広めている会社が株式会社NOTEです。
日産に同じ名前の車がありますが、関係ないです。もちろん、このブログのnoteとも関係ないです(笑)
NOTE(農都に由来)は兵庫県丹波篠山市で生まれたまちづくり会社です。令和4年度ふるさとづくり大賞を受賞されました。先週、代表取締役の藤原岳史さんを取材してきました。
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NOTEはホテルを経営している会社だと思われがちですが、施設の運営はしないことにこだわっています。
ホテルの運営会社から家賃のほかNIPPONIAのライセンス料を月々もらうことで売り上げを得ています。
宿泊施設の場合、古民家の再生費用は数千万円を超えることはザラです。それにもかかわらず、運営会社は改修費の負担ゼロです。
NOTEが改修した古民家はホテルだけでなく、飲食店や雑貨店などにも活用されています。多くの人に古民家を活用してもらうために、地域の人にはできるだけ安価で物件を貸し出しています。風格ある古民家を普通の物件の感覚で借りられる。これは魅力的です。
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NOTEの事業の最大のポイントは資金調達です。古民家の改修費はNOTEが出しているわけではないのです。
NOTEが地域の会社や自治会などと一緒になってまちづくり会社を作り、そのまちづくり会社が地元の金融機関から融資を受けるという仕組みです。地域の人たちとともに新しい組織体を立ち上げるというところがミソです。
もちろん、多額の初期投資を回収するのは時間がかかります。途中でテナントが撤退するリスクもあります。それでもNOTEは地域の伴走者として、5年、10年ではなく、100年先につながるまちづくりを目指しています。その覚悟がすごいと私は思うのです。