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地域の教科書〜良いことも、そうでないことも、ちゃんと伝える〜
6月6日の日経の社説を読んで、オッと思いました。
「地域の教科書」という言葉が出てきたからです。
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ながい社説の後半で…
地域社会を見直すうえで、例えば地域の良いことも悪いことも全て明文化する「地域の教科書」づくりが一助になる
と書かれています。
この「地域の教科書」とは何なのか。具体的に示されませんが、私は元ネタを知っています。
おそらく、京都府南丹市にあるNPO法人テダスが発案した「集落の教科書」のことだろうと思います。
そのコンセプトは「良いことも、そうでないことも、ちゃんと伝えたい」。
日経の「地域の良いことも悪いことも全て明文化する」とほとんど同じ意味です(笑)。なんで日経は微妙に言い回しを変えて、NPO法人テダスの名前を出さなかったのか疑問です。
それはともかく、NPO法人テダスの支援のもと、「集落の教科書」は現在全国23地域に広がっていて、そのうちの一つを私は3年前に取材したことがあります。
それは石川県七尾市高階(たかしな)地区です。当時の地域おこし協力隊員が中心となって「集落の教科書」を制作し、移住希望者に配布しています。
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この教科書では、田舎ならではの暗黙のルールやしきたりを明文化しています。たとえば「A町では年4回草刈り、年5回お宮掃除、年1回花壇の整備、川辺の草刈り、用水路の掃除…」など参加しなければならない地域活動を全て紹介しています。
地元住民からは「あまりこと細かく書くと煩わしく思って移住したい人が逆に減る」という意見があったそうですが、制作側はリアルな情報にこだわりました。結果、非常に濃い内容に。私が移住者の方に感想を聞くと「とても参考になった」という声ばかりでした。
高階地区のように移住者の一人である地域おこし協力隊が中心となり、地域のリーダーの協力のもとに教科書を作成するのが理想的です。外の目線と中の目線のバランスが取れると思うからです。
集落の教科書づくりは地味に大変な作業ですが、移住定住の促進のためには超重要だと思います。行政中心のイベント、空き家バンクだけでは片手落ちです。
NPO法人テダスのHPから各地の教科書が見れます。参考になりますよ。