買い物難民を救う移動スーパー「とくし丸」の急成長を見つめて
23日の日経新聞の朝刊に「買い物難民 4人に1人 移動販売や宅配に補助金」という記事が出ました。
日経の記事を見て、4年前に総務省の「ふるさとづくり大賞」を受賞されて、取材をした「とくし丸」を思い出しました。買い物難民という言葉がほとんど知られていない頃から、過疎地で移動スーパー事業に取り組んできたパイオニアです。
4年前、500台だったとくし丸の車両台数は現在1100台を超えています。予想を上回る急成長です。大手資本ではなく、もともと徳島のスタートアップ企業だったというのがうれしいですね。もし、当時投資できるのなら間違いなく投資していました(笑)。時代の追い風を完全にとらえていましたから。
とくし丸の詳しい内容については、私が制作した動画「流通維新」をご覧ください。買い物客が参加する「プラス10円ルール」など素敵なビジネスモデルです。
「利益にならないことは世の中の役に立っていないとさえ思う」
4年前、とくし丸創業者の住友達也さんが私に語られた言葉です。続きも紹介します。
「皆さん、社会貢献だなんだ奇麗事を言うが、本当に社会貢献をしたければ、ビジネスとして成立して適正な利益が循環していく仕組みを作らないと、永遠にボランティアできないですね。社会貢献やボランティアも結構ですが、本当の意味で継続的に持続的にちゃんとしたビジネスとして正当な利益をいただいて、納めるべき税金も納めて、ちゃんと持続させることが、とても重要なポイントだと思っている」
住友さんは社会課題全般に関心が高く、中央集権、原発問題についても率直な意見を話されていました。「ふるさとづくり大賞」の受賞については「何とも思わない」と平然と言われていたのが印象的でしたね。誰にも媚びない孤高の存在というか、幕末の志士のような強さを内面に秘めていて、すっかり魅了されました(笑)
その後、住友さんはとくし丸の成長速度をさらに加速するために、食品宅配大手の「オイシックス・ラ・大地」に株式を売却。つまり、自らオイシックス・ラ・大地の子会社となりました。
いつ倒産してもおかしくない「吐きそうな毎日」を乗り越えて育てた会社をあっさり手放してしまうなんて、普通はできません。渋沢栄一のような視座の高さはどこからくるのか。もう一度お会いした人です。