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Photo by
noriaki_wada
私と、トモさんと、竹馬
私はチビで、トモさんはノッポだった。
私が小学生のころは、学校には大量の竹馬があり、みんなスイスイと、まるで自分の足の一部のように乗っていたのだが、私にはどう考えてもあんな細い棒の上に乗れる気がしなかった。
しかし、どうしてもどうしても、何が何でも乗れるようになりたかった。
どういういきさつで そうなったのかはまったく覚えていないのだが、ノッポのトモさんは昼休みになると、私の「竹馬チャレンジ」に付き合ってくれた。
毎日昼休みになると私とトモさんは竹馬を持って運動場の端っこに行った。
竹馬に乗った私を支えてくれて、「イッチニ! イッチニ!」と声をかけ、一人で乗れるようにマンツーマントレーニングをしてくれていたのだ。
「トモさん!今日はなんか乗れるかも!」
と自分に期待している私を、文字通り支えてくれた。
私はというと、自分の期待とは真逆の昼休みを何日も過ごした。そのたびにトモさんには申し訳ないことをしたと思っていた。
毎日30分もの間、トモさんが私のためにやってくれたことは、単なる竹馬の練習以上のものであった。
なかなか一歩目の勇気が出ない私に、トモさんはいつも
「大丈夫、いけるよ!」
と笑顔で言ってくれた。
でも・・・
私は結局、一人では一度も竹馬に乗ることができなかった。
やがて、大人になった私は子どもが生まれ、息子達が小学生のころ、このエピソードを彼らに何度も話した。
竹馬に乗る夢は叶わなかったけれど、トモさんと過ごしたあの昼休みの時間は、私にとってかけがえのない宝物だったと。
40年近くたっても、ふとしたときに思い出す。
あの時、私がトモさんにもらったものは、何度失敗しても挑戦を続けられる勇気だったのだ。
トモさんの「支え」は、私にとって一生の宝だ。