いつまでも残ってほしいもの
私は散歩が好きだ。
目的地も決めずに、知らない街をただただ歩く、何もない時間。
はじめて見る公園や、趣のある古い建物、謎のオブジェに、うまく隠れている動物たち。木々の隙間から差す白い光、そこから上を見上げると、木は影になり、まるで加工したかのような青空。吹く風も、少し疲れた足も、毎日の生活で疲れた心を癒す、何もない、でも、大切な時間。
中でも楽しみにしているのは、家から歩いて行ける場所にある小さな飲食店を探すことだ。
住宅地に突然現れる看板。かわいいロゴや、渋いのれん、手書