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コロナのロックダウン。自然的境界でゾーニング(redzone指定)を始めるハノイ市の本気度

ゼロ・コロナ策で徹底的に封じ込めてきたベトナムであるが、感染力の強いデルタ株には適わず7月頃から猛威をふるい、南部ホーチミン市周辺で急激に感染が拡大した。ハノイ市は感染者数は多くて100人強/日といったところだが、7月後半よりロックダウン(首相指示第16号による社会的隔離措置)に入り、現在も期限の延期を繰り返している。

現在の期限は9月6日までだが、感染者数が下がらない状況で、更なる延長となるが、今回はハノイ市域一律に最も強い「16号措置」を実施するのではなく、3つの区域に分けて措置も分けるとのことだ。

参考情報:https://vnexpress.net/10-quan-huyen-ha-noi-gian-cach-xa-hoi-sau-ngay-6-9-4350622.html

ハノイの市域は相当広い。約1300平方kmは、日本国内で比較するなら香川県の約7割、神奈川県や佐賀県の半分以上の面積といったら参考になるだろうか? 当然、これだけ広い市域全体が市街地であるわけではなく(市街地の規模感については前出の「ハノイ市街に山手線を重ねてみた」を参考いただけます:https://note.com/makinhanoi/n/nb89abbc8b2d4)、長閑な農村地域、丘陵地域も含まれ、これらを一律にロックダウンを敷くことを改め、緩和すべきは緩和するということになる。そこで、どのように区域分け(ゾーニング)するかはハノイ市民の関心事となったことだろう。

上記情報を基に、3つの区域を地図上に色分けして展開したのが表題の画像である。関心事は、Zone1(Vung 1)=レッドゾーンがどこかということだ。Zone1は今まで通りの強い措置が継続する。Zone1は、中心部の市街地とその周辺の行政区であり、人口密集地域であり、また業務地区を擁する行政区である。ちなみに、僕の居住地と職場のあるカウザイ区(Q. Cấu Giầy)はZone1、つまりフル・ロックダウン継続だ。

河川や運河を境界としたゾーニング

ゾーニングの仕方として興味を引いたのは、区や県(ハノイ市内の下位行政区)の行政境界だけではなく、河川や運河を境界としている箇所があることだ。”...bao quanh bởi sông Nhuệ, kênh Cầu Ngà, sông Đáy, kênh Khê Tang, sông Tô Lịch, kênh Hồng Vân và sông Hồng về nội đô”

下図、黄色線は行政境界(H.=Huyện、県)で、赤斜線区域はZone1(レッドゾーン)だ。このように、一部のThường Tínへ越境してレッドゾーンが敷かれている。

この境界部分を拡大したものが以下の図:

この様に、行政境界ではなく河川や運河に沿ってレッドゾーンが設定されている。

つまり、見えない行政境界の線を頼りにするのではなく、水域という自然の境界線により、橋を関所としてレッドゾーン内外の通行を管理するということだ。

なるほど、「内側に居る身」としては、より一層限定して厳重管理されるということで微妙な気持ちであるが、河川や運河が多く張り巡らされたハノイの地勢を上手く利用しているなと思う。そして、既存の行政境界に固執せずに管理のしやすいように柔軟に線を引き直している点に政府の本気度を感じた。

※上記のゾーニングの境界線データは、上記サイトを参考にして自主的に線を入力したもので正確性を保証するものではありません。誤り箇所の指摘やより詳細データの所在など、教えていただければ幸いです。

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