ハノイ <<<<< 東京 < ニューヨーク コロナ感染者の密度を比較してみた。
画像は、ハノイ市、東京都(島嶼部除く)、ニューヨーク市(NYC)の3都市における、コロナ感染者の密度を表わしたものである。1つの点は感染者50人を表し、それを都市範囲内でランダムに点を発生させて作ったものだ。3都市とも同じ縮尺。(マップ作成:SuperMap GIS)
東京とNYCは真っ赤で点も何も無いように見えるが、東京の拡大図が示すように、拡大すると点の集合で構成されていることが分かる。この3都市を比べると、東京とNYCは同類で、ハノイがずば抜けて少ないことが見て取れる。
ところで、僕はコロナ感染が世界的に拡大し始めた去年2020年4月に、東京とNYCの感染状況を比較して、上記と同じように点密度主題図を作った。その様子を動画にまとめたのがこちら。
コロナ感染者数累計1000人超からの東京とニューヨーク市の比較 Comparing Tokyo and NYC for Covid-19 data after 1000 case
メディア報道で東京は2週間後にはNYCと同じように感染爆発するかも知れないという、やや煽り気味な内容に疑問を感じて検証してみた結果を動画にまとめている。結果は、NYCでは感染者の点で埋め尽くされているのに対して、2週間経った東京では同様には増加せずに感染者の密度はNYCと比べて「疎」であることが主題図から分かる。
それから1年が経ち、感染状況はようやく下降傾向になったようだが、累計感染者数たるや、東京もニューヨークも既に10万のオーダーに乗っており、もはや五十歩百歩、東京もNYCと同様に「真っ赤」になってしまった。去年の3、4月に1000人をベンチマークとしてその行方に緊張感を持って様子を伺っていたのは一体何だったのか。
さて、ここでベトナム・ハノイの話に入ろう。
コロナ対策の優等生として、抑え込みに成功してきたベトナムだけあって、首都ハノイでも圧倒的に感染者数が少ないことが分かる。(なお、ハノイ市の人口は800万を超え、他の2都市とも比肩する人口規模。) 東京、NYCがコロナの世界的流行の開始から2、3か月で到達した1000人にもまだ満たない。変異株やらワクチンの有効性やら、状況は常に変化しているとはいえ、ハノイでは同じ轍は踏まないだろうと僕は実感している。基本に忠実に対策を実践していて、市民も守っていることが分かるからだ。今、ハノイ市では5月末から3週間以上飲食店が店内営業休止(持ち帰り、宅配は可能)に入ったままだ。経営者の不満の声が有るのか無いのか僕には分からないが、カフェや持ち帰り対応しない飲食店は閉じたままだ。感染者本人をF0として、1次接触者からF1、その接触者をF2、…、Fnとランク付けてその徹底追跡、完膚なきまでの封じ込めも功を奏しているのも肌感覚で分かっている。
社会はそんなに単純ではない。僕のように来たばかりで言葉も通じない外国人には知らない事、見えてない部分が多々あることは承知の上だが、政府と市民が結構一枚岩でコロナに対峙している感じがするのだ。五輪開催や飲食店の酒類提供等諸々のことで意見がぶつかり合っている日本国内の様子と対比すると、その感じが尚更際立つのである。