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P2Pなハノイ市民にとって、BRTや都市鉄道は不要ではないか?という説。
ハノイには都市鉄道(軌道)がない。正確にいうと、構造物としては2A号線というのが完成しているが、不具合があり営業運行までには至っていないという。
一方で、BRTは2017年より運行している。BRTとは、Bus Rapid Transit、ハノイのBRTに限定して平たく例えて言えば「線路の無い路面電車」。道路中央側にバス専用レーンと停留所を設けたもので、速達性、定時性や頻発性のポテンシャルが高いが、軌道施設のような建設や維持管理費用を掛ける必要がないという利点がある。
今回、ハノイのBRTに乗車した感想を書いてみる。
休日、しかもコロナの影響もあるのだろうか、車内は席の半分も埋まっていない。ガラガラである。道路自体も空いていて、一般車の渋滞を脇目に専用レーンを悠々と進むという優越感を体験することなく目的地に到着した。距離にかかわらず1人1回7kVND(約35円)という運賃は経済的。
設備面では、プラットホームがあり段差なく乗降が楽。郊外部ではホームから道路を渡るための歩道橋が設置されている。専用レーンはコンクリ舗装(郊外では停留所のみ)であり、さすが灼熱のアスファルト対策が万全。ワンマン運行で車掌は乗務せず停留所で切符を購入して改札を通る方式。
安い、早い、空いてるの3拍子で好印象だった一方で、コロナ、休日という条件があるとはいえ、折角のインフラがあまり利用されていないのではないかという印象も残った。以前、マニラで都市鉄道に乗った時、ちょうど通勤時間帯ということもあり改札を通るまで30分以上並ぶという大盛況ぶりを体験したが、ここハノイでは通勤の足としてBRTがそこまで重宝されているようには思えない。今後開業する都市鉄道(地下鉄)も同様、混雑することがあるのだろうか疑わしい。
なぜか?
長い間バイクが市民の足として定着している。ドアtoドアで便利な反面、渋滞や事故の危険という不利な反面もあろう。ただ、それら不利な点というのはそれ程のものではないのではないかと、僕は実感しはじめている。「渋滞」しているようで信号が少ないので結構止まることなく流れている。「危険」そうでいてローカル秩序により(あまり)接触することはない。そもそも速度が遅いため接触してもケガに至るものではない。渋谷のスクランブル交差点で縦横に行き交う人々がぶつからないのを見た外人さんはAmazing!と喜ぶが、当の東京人(というか渋谷に出没する人)は意識せずにぶつかることなく歩いている。同じことがハノイの交差点のバイク同士でもいえるのではないか。人同士であろうと、バイク同士であろと、ギリギリまで接近しても最後に交わせば問題ないという話だ。東京では人同士が駅や車内で「接触」してしまい喧嘩(事故)になることもあるのだから、どちらが安全かなどとは言い切れないものだ。
ハノイのバイク主体による直接的な移動手段がP2P(peer to peer)だとすれば、公共交通機関の利用はクラ・サバ(client/server)に例えられないだろうか? ブロックチェーンのようにP2Pが志向される時代からすると、皆で電車やバスに乗ることを推奨するのは時代に逆行しているといっては話が飛躍しすぎだろうか。。。
ハノイでは、バイクの駐輪場というインフラも完備され、駐輪場の運用も成熟している。何を今更、BRTだ電車だ?という市民の声も聞えてきそうである。
以上。ハノイの町に出て、たかだか1か月。上っ面しか見ていない者の雑感である。