4bitな日本語、8bitなベトナム語
最近流行ってるぽい「解像度」で表現してみる
少しベトナム語をかじってみるとぶち当たるのは、その発音の難しさだろう。
ベトナム語の発音について、
少し理性的に言うと、微細な音域と抑揚の差異で巧みに多彩な語彙を生み出す。
少し感情的に言うと、発音の微妙な違いに拘り過ぎやで!
少し流行りの表現をしてみると、解像度が高い!
この「解像度」という表現は感覚的にしっくりくる。
例えば、
ベトナム語で以下のような表記の語句はそれぞれ発音も意味も異なる。
(注:括弧内は意味を持つ語句としては存在しないようだ)
to, tỏ (tó, tò, tõ, tọ)
tơ, tờ, tớ (tở, tỡ, tợ)
thò, thỏ, thọ (tho, thó, thõ)
thơ, thờ, thở, thợ (thớ)
24種類の表記に対して、日本語で記すなら全てが「ト」になる。
例えば、
an, án (àn, ản, ãn, ạn)
ang, ánh (àng, ảng, ãng, ạng)
ân, ẩn, ấn (ần, ẫn, ận)
ăn (ắn, ằn, ẳn, ẵn, ặn)
ăng, ắng, ẳng (ằng, ẵng, ặng)
この30種類の表記に対して、日本語で記すなら全てが「アン」で片付けられる。
実際の意味のある単語に絞り込むとしても、10数倍の解像度を持っているようなものだ。
日本語では一つの「赤色」RGB(255,0,0)に対して、ベトナム語では10数倍種類の多彩な「赤色」のRGBのレンジがあり、しっかりとRGB値の違いと色の違いを識別する必要がある。
不可逆的な8bitへの変換
例えを換えると、日本語は4bit、ベトナム語はその16倍の領域を持つ8bit。
8bitから4bitにデフォルメするのは易しいので、ベトナム人にとっては日本語の発音をすぐに正確に書き取ることができる。たやすく歌も歌える。
逆に、4bitから8bitは不可逆的であり、日本語で「フォー(米粉そば)」と言っても phở phố phó... など類似する多彩な語彙から特定できない。フォー屋さんで(カタカナ発音で)「フォー」と頼んでも通じないというのも実話。
まとめると、脳みその皺が固くなった大人にはこの識別能力を身につけるのは至難の業であるが、それはベトナム語で会話するには必須な能力だ。ベトナム語の難しさはここにある。
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