【セルフライナーノーツ】#09. Re:Bound【Re:Lease】
[前記事]
#00.はじめに
#01. Re:Structure
#02. 暁スリーパー
#03. ごめんあそばせ
#04. Stay Smile
#05. さよならホメオスタシス
#06. 箸休め
#07. 優しい言葉
#08. 踏切
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【クレジット&歌詞】
作詞:小田貴音 作曲:小田貴音 編曲:万貴音
【楽曲解説】
本アルバム内で最もアグレッシブなロックナンバー。「Prototype3.0」表題曲として先行リリースしましたが、アルバム版ではギタリストに「清流光神ハクジャオー」でも力を貸してくれた山下ともてる・林”カルロス”隆治が参加。万貴音の楽曲制作において初めて自分達以外のプレイヤーが演奏した音源、という記念すべき楽曲でもあります(ボーカルゲストは桑原しおりさんの「ごめんあそばせ」が初)。
Prototypeシリーズで出した楽曲を大きく変化させてアルバムへ、という目論みもここで達成できました。音の処理をブラッシュアップしたりエフェクトを変化させたり、ではなく、ぱっと聴いただけでわかる大きな違い。おかげで楽曲クオリティも爆上がりしたものをアルバムで出すことができました。改めてありがとう、ともカル!
ともてる・カルロスの二人は2023年7月にライブで対バンした際にコラボをお願いして一緒にプレイ。コラボをお願いしたのも急だったんですが、きっちり二人でプレイを詰めてきてくれて、実にアツい演奏になりました。実はその時点でアルバム入稿半月前だったんですが(怖。笑)、その手応えと直感に従って制作参加をオファー。紆余曲折もありましたが、魂のこもったテイクを期間内にきっちり納品してくれました。2人ともスキルも実績もある凄腕ギタリストなんですが、前提として本当にギターと音楽が好きなんだよなあ。「俺、ギターのこういう格好いいとこが好きなんす!」が音になってる。2人の活動にもぜひ注目してください。
楽曲の話に戻ります。小田はかつてバスケットボール少年でして、今でもスラムダンクは自分にとっての聖書です。「Re:Bound」はバスケットボールをモチーフにして書いた曲ではないのですが、2022年12月に映画「THE FIRST SLAM DUNK」が上映開始されたのもあって、楽曲制作においての影響は少なからず受けています(タイトルももちろんです)。
時代や才能、その他色々なナニカのせいにして傷つかないように過ごす毎日。大人になれば様々なことを割り切って泳がなければいけないことも増えます。そうしないと上手く呼吸ができないから。”上には上がいる”ことを受け入れなければいけないことも、また現実としてある。歌唄いとしても、作家としてもそう分からされることも日々、多々ある。意外と気軽に絶望に触れてたりもします。
ただ、そのままではそのままです。失敗や挫折の痛みを回避しながら生きて、この世を去る時に心から笑えるだろうか、と本気で思う。それは自分が今になってもギリギリで生きているからかもしれないし(「早く人間になりたい」というのは冗談でなく、本心です)、同じように思っている人もきっといるでしょう。自分の中にある恐れや恥や諦めと向き合い、抗って、闘うための歌。自分が作った歌の中にこれまで「Wow-」なんてコーラス入れたことない気がします。これは雄叫びだ。
奮い立たせろ、自分の運命は自分で決めろ。そういう青臭く泥臭い感情をむき出しにしたのがこの曲です。”Rebound”の意味は「跳ね返る」「反響する」、そして「反発する」。やってやるさ。
【作詞振り返りメモ】
・「投げ出した手足がベッドではずんで」
ここでまずタイトル回収。ベッドではずむ、ということは自分の意志で手足を制御していないわけで、ある種”流されている”自分の描写です。
・「いつかの自分、あの日の未来」
前者は遥か昔、東京芸大に挑んでいた自分に向けて書いたものでもあります。以前何度か書いたエピソードですかね。当時のブログが残存していたので載せておきます(若さゆえの痛々しい文体なのでご注意)。
後者は兄がかつてやってたバンド「No Regret Life」の楽曲名から。意識してそうしたわけではなく、自然とそうなってた。
・「”One for All!” なんて素晴らしいワードに」
当時少し「ブルーロック」読んでた影響かもしれません。特に日本は和と全体主義の強い国なのかもしれないし、バンドもアンサンブルがとても大事。なんだけど、個としての強さは絶対に磨かなければいけないものだとも感じます。家族や恋人、夫婦も互いに補い合える素敵な関係ではあるものの、ただ引っ張り上げてもらうだけは何か違う。どこかでは引っ張り上げられる自分でありたいものです。
【作編曲メモ】
・キー設定は何に重きをおくべきか
キーはFmです。ギターメインの楽曲だと半音下げてEmにすると鳴らしやすいし、楽器もよく鳴ります。ただ、これだと声が一番張れる部分に微妙に届かない。どちらを優先すべきか悩みに悩んで、この結果に(1カポEm)。
・フェスをイメージしたアレンジ構成
とにかく広い場所で爆音で鳴らすイメージでアレンジしたので、あまり小賢しいトリックは入れてません。コードもシンプル目に。2Aパートでギターのカッティングをフィーチャーしたりもしてますが、全体を通して長めの音符を意識して配置してます。バンドでフェスで鳴らしてえ。
・レスポンスをもって埋まる隙間
イントロやラスサビ前の「Wow」はこれだけでは不完全。特にイントロではアレンジ練りきってない印象を受けた方もいたかもしれません。が、これはライブでの”あなたのレスポンス”をもって埋める隙間です。でかいとこで、マスク外した顔で大合唱。そんな未来をデザインしたつもりです。
【シングル版との違い】
楽曲構成はPT3.0のまま、それでこの変化。これは勿論ともてる・カルロスの強力な協力によるものです。ライブでコラボする時に出したオーダーを土台に、少しだけブラッシュアップしてまとめてもらいました。
バッキバキのロックチューンですが、アルバム全体の雰囲気との兼ね合いも考慮して、あまり極端なハイゲインサウンドにしないようにオーダー(いわゆる「歪み(ひずみ)」の加減の話です)。
場合によっては「ここにメロディの隙間ができるから、オブリ(おかずメロディ)を入れてくれ」みたいな要望を出したりするんですが、指定なしで欲しいとこにきてくれました。歌の切れ目とかを聴いてみると彼らがよく分析してくれてるのを感じられると思います。頭脳派じゃ!
自分で作った曲を自分でアレンジして自分で演奏すると、意図から外れない音楽としてまとまります。ただ、ミラクルはなかなか起こらない。なぜなら小田貴音はプレイヤーとしては並だからです(当社比)。山下ともてる・林”カルロス”隆治はその壁を見事に打ち払ってくれました。これだから音楽は面白い。お願いして、本当によかった。
次回は#10.「Re:Lease」のライナーノーツ。アルバムタイトル曲、この1枚を世に放つ最も大きな願いを込めて生み出した楽曲。お楽しみに。
ではまた。
万貴音 小田貴音
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・アルバム「Smile Co.」
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・シングル「クローバー」
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・アルバム「ノーマライズ」
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・シングル「ごめんあそばせ feat.桑原しおり」
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・シングル「にらめっこ」
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・アルバム「Re:Lease」
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