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往復書簡/S→N/2023年1月1日

明けましたね。
喪中につき、お祝いの言葉は、控えさせていただきますが
1年前と変わらず、こうして、往復書簡を続けさせてもらえて
有難いなぁと思っています。
これからも、無理なく、楽しんでいきたいですね。


1年前のウニスカさんとは別人のよう。
先月のお便りを読んで感じたことです。
ウニスカさんにとって、どんな1年でしたか?

2月のUNIMAKIZINEの開催。
いろんな方に、2Fを活用して頂いたり。
イベント出店も。
「365日ウニスカおはようツイート集」や
「開業記」を発行されて。
ウニスカさんの言葉、思いが、いろんな方の手に渡り、いろんな反応や感想を聞くことが出来たことも、更なる創作意欲に、結びついているのかもしれませんね。

もちろん、山アリ谷アリ、だとは思いますが
その振り幅は小さくなったような?
「書くこと」は、お互いに、大切な作業になりましたね。

さて、宿題です。
前回の、ウニスカさんのお話は、もちろん、大山のぶよさんバージョンで
読み進めましたよ。
ドラえもんと、のび太の画が、しっかり浮かんで、違和感なく。
本や文章に触れてきた経験値の差でしょうが、もうそろそろ、私は「白旗」を揚げるかもしれない。
やっぱり、向き不向きは、あるよなぁと実感してるところです。
それでも、なんとか。

ウニスカさんからのお題は
「正月」「雪」「うさぎ」
お諏訪さんの動物園にも、ウサギさん、居まして、何かヒント、もらえたのかな?
自分目線の、経験を混ぜ込みながらの、いつものタイプです。
お手柔らかに!

【淡雪】

街中がメレンゲで覆われた、お祝いのような日。
寒中見舞いを、ポストへ投函に行く。
積もっているということは、地面があるはずだが
トラップ的な落とし穴があったりしないか?
その先を見定めながら、一歩一歩。
こんなにゆっくりと、この道を歩いたことがあっただろうか?
振り返ると、自分の足跡が、しっかりと抜き取られている。
ふと、目の前に、見慣れない跡を見つける。
楕円のようなもの4つが、一つのパターンになっていて、目と鼻と口の顔のように見える。
その瞬間、記憶の片隅に残っている場面が蘇る。
昔、祖母が読んでくれた絵本に描かれた、うさぎの足跡。
確か、うさぎの足跡を見つけたら、いいことがある、そんなお話だった。
ポストの先にも続いていて、30歩くらいで道を曲がると、その先には街路樹があり、その塊は、縮小されて、間隔が狭まってくる。
1本の木の前で、それは途切れている。
よく見ると、根元に小さな扉があって、中から、灯りが漏れていた。
気が付くと、自分の体も、小さくなっていて、周りは、自分よりはるかに高い雪の壁に覆われている。
扉の小窓から覗いてみると、暖炉にロッキングチェア、サイドテーブルには、ティーカップがあり、湯気が出ていた。
ノックしてみても、誰かが出てくる気配は、無い。
すっかり雪国に取り残された気分で、体中の震えも止まらない。
気が付くと、ソファーに横になっていた。
「目が覚めました?」
顔をあげると、一匹の兎が居る。
と言っても、二足歩行で、私より少し小さいくらいの背丈、幼い頃に遊んだ、動物の家族のシリーズの人形のようだ。
「え、えーっと」
「とりあえず、ミルクティー、飲みませんか?」
「あ、はい、ありがとうございます、、、」
それは、温かくて、ほんのり甘く、体中に沁み渡った。
「あの、えっと、助けて頂いて、ありがとうございます。」
「あぁ、いえいえ、ここに来ることに、なってたんですもの、当然です。」
「来ることになっていた?」
「はい。お預かりしています。」
「何をですか?」
すると、奥の部屋から、風呂敷に包まれた箱のようなものを持ってきてくれた。
「これは、いったい、何なんでしょう?」
「戻られてから開けてください。」
「戻る?」
「もう、帰れる頃ですよ、お気をつけて。」
「え?あ、そうなんですね?なんだか、よくわからないけれど、お世話になりました。」
「いえいえ、勤めですから。お気をつけお帰りください。」
「どうも、お邪魔しました。」
扉を開けると、急に体が風船のように膨らんで、元の大きさに。
渡された風呂敷包みは、メロン1ケ分くらいの重みのある立方体で、確かに自分の手の中にある。
うちに戻って、しばらく、いろんな想像が駆け巡る。
浦島太郎のように、煙が出てきて、おばあさんになるんじゃないか?
或いは、蛇のおもちゃが飛び出てくるとか?
度胸があるようで、実は、小心者なのだ。
まずは、風呂敷を、恐る恐る開けてみると、3段の重箱が包まれていた。
覚悟を決めて、蓋を開けると、一段目には、栗きんとんと、二色玉子。
二段目には、海老と黒豆。
三段目には、リンゴ寒と、うさぎの形の淡雪。
ぽとり、ぽとり、一粒、二粒、落ちる雫の正体は
私の目から落ちるもの。
「全部、私の好きなもの、、、」
かつて祖母が作ってくれていた「お節」の中でも
私が大好きだったものだけが詰め込まれていた。
淡雪を口に入れると、ふんわりとほぐれて、溶けていく。
懐かしい味だった。
「祖母から預かってくれてたのか。」
重箱の下には、使い込まれた手帖。
彼女のこれまでの手料理の虎の巻。
もちろんお節のレシピも。
外の雪は、もう、すっかり解けてしまっていて
あの木の元へ、行ってみる。
根元には、もう扉は無く、ただ、小さな穴があるだけだった。


次は、2月ですよ。
バレンタインを避けると、テーマが難しい(笑)
「節分」「ランタン」「開業記念日」で
どうでしょう?

そろそろ、短歌に移行します?

makijaku

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