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往復書簡/S→N/2023年9月1日

ウニスカ様

ウニスカさんが嫌いな夏も、朝夕の涼しさや、虫たちが、その終わりが近いことを知らせてくれるように。
日の入りも早くなりましたね。
蛍茶屋からの夕暮れ時の様子も、楽しみに拝見しています。

穴という穴をふさいでなお漏れる人間偽り採掘場

お題「マスク」「ミステリー」「嘘」より

先月の短歌ですが、ミステリー小説を彷彿とさせるような世界観で、ゾクゾクしました。
お題の単語そのものを使わずに、言葉のイメージからの創作、お見事です。

そして、私が頂いたお題は
「家族」「幸せ」「呪縛」
初見では、てっきり、私の背景をイメージして下さってのことかと思っていたんです。
でも、よくよく考えると、ウニスカさんにとっても、キーワードなんじゃないか?
それこそ、私たちの重なる部分かもしれないと。

置かれた立場は、違えど、それぞれに抱えてきたものや、切り離せないものは、未だに持ち続けていますよね。
私の場合は、やっぱり「22+22=44」の完成とそこまでの準備が、とても大きな意味を持ったし、そのおかげで、新しいスタートラインに立って、それらのキーワードについて、それまでに無かった視点で、考えている気がします。

思い込みから、自分で自分を縛ってしまって、本来の自分が思い描く「シアワセ」を、遠ざけてしまっていたのかも。

家族に求めるもの、求められるものは、家族同士でも異なるかもしれないけれど、互いのシアワセを祈る思いは、変わらないはず。

自分のことを犠牲にされてまで、守られることが、本当にシアワセなんだろうか?

想像力は、相手を思う時、とても華やかな愛に染まることもあれば、誤解を生んだり、むしろ、悲しい思いをさせてしまうことがあることも知ったり。

いろんな場面に遭遇して、確かめていくうちに、家族間での「シアワセ」の擦り合わせが出来たらいいのかな、と思うようになりました。

私の場合は、母との時間が、この1年で、より大きく変化したと思っています。
母に産んでもらって、45年生きてきた中で、やっと、向き合って?というより、同じ目線で、対話が出来るようになったような。
そこで、共有していく時間や思いこそが、この先の、それぞれのシアワセに、大きく反映されていく気がしてならないのです。

転機は、祖母の他界でした。
祖母が、身を持って、その機会を作ってくれたのかもしれません。
この夏、祖母の初盆と一周忌を終え、よりその思いは強くなりました。

キッカケは、そんなに大きなものでなくても、きっと、あちらこちらにあって、それに自分が、気付けるかどうかだろうと思います。
自分の状態でも変わってくる。

ウニスカさんの開業記「インポータントタイム」「エピソード0」も、ご自身の思いや経験を発表する作品としてだけでなく、同じような思いを持つ人たちの気持ちを代弁する形として、新たな役目を持ち始めていますね。
誰かにとってのキッカケ作りに、そしてまた、ご自身に還ってくるものがあるのかもしれない。

10月には、福岡での文フリへ、参加されるとのこと。
そこで出会う皆さんにも、それぞれに届く何かがあるといいですね。
楽しんできて下さい。

あなたへ

「鳥籠の中の鳥みたいだ」
いつか、あなたが、私に言ったことを覚えていますか?
そもそも、そこに居た時に、私は、そう感じていたのに、あなたの元から、飛び立った先でもまた、籠の中に居ると?
しかも、まさか、あなたの口から聞くことになるなんて、思ってもみなかった。

そんな私が、籠から出るまで、あなたが待ってくれていたと感じたのは、あなたが、この世を去る時でした。
そして、この夏、初盆を終えて間も無く、あなたが夢に現れて「怖がるな」「自由でいい」と私に言ってくれた。
隣に居たのは、きっと、あなたの元伴侶だったのでしょう。
そちらで会えて、仲直りできましたか?

私から、大好きだった祖父を遠ざけたこと、祖父が、先に一人で旅立つことになってしまったことを、心の何処かで、あなたのせいにしていたのかもしれません。
それが、あなたのシアワセのためで、私たち家族を守るためだったとしても。

怖がって、籠を拵えていたのは、自分自身だった。
そう気付いたのは、2年前のことです。
そこからの追い上げが、猛スピードだったことは、見守って感じてくれていたと信じています。
もう、籠は、見えなくなりましたか?
私は、自由に羽ばたいていますか?

シアワセになることを恐れていた私は、シアワセをそのまま受け止めて、感じて、感謝できるようになり、この先の私自身のシアワセについて、今、確かめてる最中です。
「家族」という形についても、ずっと考えてる。
そして、あなた自身も、苦しみを抱いていたのだと、今なら、わかるのです。
次に会える時には、答え合わせできるでしょうか?
二人で、居てくれたら、そちらに行くことも、怖くない気がします。

それでも、今、私が置かれているこの世界で、出逢う人たちとの奇跡に感謝して、私の役割を果たしながら、命ある限り、生きていきたいと思っています。
それまで、見守って、待っていて下さいね。

あなたの孫より

お題「家族」「幸せ」「呪縛」

今回は、祖母への手紙という形で
お応えすることに。
とても、いい機会になりました。
ありがとうございます。

来月のお題は
「待望」「秋」「実り」で、いかがでしょうか?

makijaku

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