ちょっとした幸せ ㊾手をかけた作品のエネルギー
アヴェニュー・モンテーニュにしろ、
有名なオペラ界隈のフォーブル・サントノーレにしろ、
私などは、在住時も「お買い物」というより、
通りを歩く素敵な人たちの所作や着こなし、
近隣のカフェの雰囲気を楽しみに、極たまに訪れていた界隈でした。
が、仕事で必要があってそこに行くとなると不思議なもので、
何か別のスイッチが入り、闊歩できる心地よさがでます。
コロナ禍前のパリ出張の際、彼のアトリエで買付るバッグを選びながら、
素材を探す苦労話を聞かせてもらっていた流れで、
あるハイ・ブランドののビンテージ生地で
特別にほとんど生地代だけでワンピースを作ってもらえることになりました。
アトリエで採寸、
後日仮縫い、
出来上がってきて、袖周りの微調整・・・
私が縫製に明るい人間だったら、そのプロの仕事の一部始終を
もっともっと理解し感動できたのでしょうが、
とにかく、しっかりとフィットする着心地の良さしか
言葉にできないのはとても残念です。
型紙からおこして服を新調させてもらい、
しかも、モンテーニュ通りのアトリエでワンピースを作ってもらえたなんて、
それ自体も貴重な体験でした。
そして、その過程を間近で見ることができ、
手仕事のエネルギーをどのように伝えていくか、
沢山のヒントをいただけたように思います。