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男子宝石

※ ホラー注意

「ママ、地球がブラックホールにのみこまれたらどうなっちゃうか知ってる?」
「んー、わかんないなー」
「地球がね、消しゴムくらいの大きさに圧縮されちゃうんだって」
 息子が目をキラキラさせて教えてくれる。ふふふ。可愛い。科学が好きでいつも瞳を輝かせ屈託なく笑う、私の大切な宝石。少年期特有の自由な海、アクアマリン。
 このままずっと私のそばにいてね。

 変な声ね、どうしたの。声変わり? あらそうなの。お弁当はいらない? なぜ? パンを買うの? ……へー。こっちの方が栄養あるのに。どこにいたの? 何をしていたの? どうしてなにもいわないの? あの子はだあれ? ひよりさんというの? 馬鹿みたいなお名前ね。圧縮。アクアマリンは透きとおった青色なのに。圧縮圧縮。赤じゃなくて青がいいのに。圧縮圧縮。ヘモグロビン? 腹たつわね。圧縮。圧縮。もっと、圧縮。

 なぁにこの黒い手帳? 息子さんはどこにいったか、ですって? 変なことを聞くのね、ここにいるじゃないの、私の左の薬指に。
 美しい、わたしだけの――
 たったひとつの――
 男子宝石。

『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』

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【毎週ショートショートnote】『ショートショート書いてみませんか?』お題発表!11/27|たらはかに(田原にか)|note

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