【毎週ショートショートnote】ツノがある東館
たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加します。
東館にツノが生えたんだ、ほんとだよ!
えっとね、東館っていうのは、この町に二つある図書館の一つで、マンガが多い方。西館は難しい本が多いからぼくはあんまり行かない。
で、ツノの話!
東館の入り口が顔だとしたら、ちょうどヒタイのところに長いツノが生えたんだ。突然だからみんな驚いていた。
「鋭くてこわいね」って言っている人もいたけど、ぼくは怖くなかった。
何か守られている感じがしたんだ、ぼんやりとだけど。
すごい大雨で雷がゴロゴロなっている日。
ぼくは傘をさして東館に向かった。
どうしても本を返したかったからね。
ちょうど東館の前に着いたとき「ドーーン」ってすごい音がして、光に包まれた。
『ああ、雷がぼくに直撃したんだ、死んだなこれは』と思った。
だけど実際に雷が落ちたのは、東館のツノの上だった。
ツノはコナゴナになって、シューって煙をあげていた。
東館、避雷針を生やして、ぼくを守ってくれたんだね。
ありがとう、大好きだよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?