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スベり高等学校

 平日、眼下ににっくき高校を見下ろしながら裏山を登りつづけた。
 頂上で首をつって死んでやる、僕をいじめたやつらを見下して死んでやるんだ。
 ふとバラバラになった祠が目に飛び込んできた。最近何者かに破壊されたのだろう。損傷のあとが新しい。
 なんとなく残骸を一か所に集めていると、背後から陽気な声がした。
「あらぁ! 片づけて偉いコ」
 振り向くとピンクの眼鏡をかけたファンキーなおばあちゃんが立っていた。山の中に似つかわしくない都会的な雰囲気。
「アナタ、この祠が何か知ってるの?」
 首を振る。
「これね、地滑りさせる妖怪、通称ジスベリさんを封じこめるために作られたのよー。でも祠が壊されて、ジスベリさん、解放されちゃった」
 それがアタシ、と嬉しそうにおばあちゃんが言う。
 おばあちゃんが、眼下の高校を指さす。
 その途端、ぐらりと足元が揺れ、一気に山が半分削られ、高校が土砂にのまれた。
「アハハハハ」
 高笑いをして去ってゆくジスベリ様は、最高にかっこよかった。
 僕はいつまでもジスベリ様の後ろ姿を拝みつづけた。


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