【毎週ショートショートnote】強すぎる数え歌

　たらはかにさんの毎週ショートショートに参加します。

「一枚〜、二枚〜」
　お菊が日課の皿を数えていると、
「相変わらず辛気臭いわね」と言いながら刑部おさかべ姫が井戸をのぞきこんできた。
　刑部姫は、姫路城にすむ妖怪の女帝にして、お菊の数百年来の友達だ。
　お菊とは違い、どんな時代にも適応して生きている。
「何か用？」
「スマホ新しくしたからその自慢～。……てか、その皿の数え方、何とかならない？　バイブス下がるんだけど。そうだ、数え歌にしなさい」
「数え歌？」
「そうよ。『いちじく、ニンジン』みたいなやつ」
「えー」
「決定ね！　私が、最高にキャッチーな数え歌を作ってあげるわ」
「えーーーー！」

　満月が国宝姫路城にかかっている美しい夜。
　お菊と刑部姫、強すぎる二人による数え歌のおひろめ会が開催された。
　腹に響くR＆B。
　アップテンポのビート。
　さすが兵庫妖怪のカリスマ二人。
「お皿が～？」
「「「ワン」」」

　その夜、全国のあらゆる妖怪が姫路城に集まり、大いに盛り上がったという。