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【毎週ショートショートnote】行列のできるリモコン
たらはかにさんの毎週ショートショートに参加します。
相手のボルテージを変化させることができる、通称『ボルテージリモコン』が流行っているらしく、俺は列に並んで購入した。
これはカッカしている人に『COOL』ボタンを押すと熱がスッと覚めるスグレモノ。逆もまた然りだ。
俺がこれを必要とする理由はただ一つ。
あの冷めたイケメン野郎、涼とその仲間を熱くしてやりたいのだ。
せっかくの体育祭、盛り上げたいではないか。
意気揚々とリモコンを掲げ、教室の扉を開けた。
「涼! これでお前を熱くしてやるぜ!」
パシュ。
電波が俺に直撃し、テンションがぐぐっと下がった。
「……くそ。読んでいたな」
「単細胞、熱田! かかってこいよ」
涼の取り巻き、レイタの声がする。
教室に入ったら、クール攻撃にやられる。
相手のリモコンは一つとは限らない。
どうする、俺? つ、と背中に汗が流れる。
「加勢するぜ!」
「一緒に体育祭盛り上げましょう」
夏夫、アツ子……。
みんなリモコンをもって笑っている。
そうだ! 俺にも仲間がいる!
ゴゴゴゴゴゴゴ
クールVSホット、今まさに熱い戦いがはじまろうとしていた。