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Photo by
mikitanishi3
塩人
ずっと気になっている。
いつも通りすぎるたびに、チラチラみてしまう。
だめだ、と分かっている。
本能的にわかっている。
彼の胸にとびこんだが最後、身もココロもとろけ、自分を保ってはいられないって。
だけど危険なものほど惹かれてしまう。
あなたはしおんちゅ。
大きな山。
まっしろな未知の世界。
不思議。
あなたに触れたい、触れたくない。
私はぐらぐら、ぬらぬら揺れている。
ある日、決心した。
どうなってもいい、あなたに触れたい。
そうして私はあなたの胸に飛び込んだ。
「あれ? お母さん。最近玄関にいたなめくじ、今日はいないね」
「ほんとね、そこにある盛り塩に頭から突っ込んだんじゃない?」
「まさかー」
あはははは、と母子は笑った。
あなたはしおんちゅ、私はしあわせ。