【毎週ショートショートnote】レトルト三角関係
※BL注意
「カレー王子、あなたを愛しています。僕を選んでください」
美しいナン王子が跪いて片手を差し出す。
カレー王子が手をとりかけたそのとき、扉がバタンと開いた。
「まて! カレー王子と結婚するのはこの俺だ!」
イケメンごはん王子が風のように飛び込んできた。
「さぁ、俺と逃げよう。一緒にカレーライスになろう」
「ならん! 古来よりカレーにはナンと相場が決まっている。でていけ! 貴様は納豆でもかけてろ」
「俺の方がカレー王子にふさわしい」
「僕だ」
ぐるるると睨み合う美しい王子たち。
チン!
レンジの音でユミは妄想から現実にかえった。
いそいそとレンジからレトルトカレーを取りだし、うどんにドバッとかける。
カレーうどんをズゾゾゾゾと啜りながら、妄想を続ける。
「やめろ! 僕はカレー王子だぞ! ……うどんみたいな下賤なやつに、屈しな……。やめ、そんな混ぜたら……! 生たまご、だと……!?」
三角関係より下剋上が好きなユミであった。
(410文字)
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