39/100 フランソワ•ジャコブ「可能世界と現実世界」/ブリコラージュな生き方
「友達」は時に自分だけだったらとても辿りつかない世界への接点をひょいと与えてくれる。
今回全く手に取ることを想定していない本に出会うにいたったのは、私の大切な友人兼コーチの譲さんから紹介されたのがキッカケだ。それがとても興味深い本で色々考えさせられたのもあって、改めて、「友達」は大事だなあとつくづく思った。
「可能世界と現実世界」の著者のフランソワ•ジャコブは、ノーベル賞を取った生物学者で、この本は生物学的見地からの進化論がテーマ。
「男」と「女」、なぜ人間にはこの2つの性別しかないことを各国の神話がもれなく説明していると書かれた箇所にはっとして、そして「神話」と「科学」は、いずれも宇宙と宇宙を支配しているとされる力の説明を与えている、なんて視点にも軽く興奮。確かに、X遺伝子とY遺伝子があって、それの組み合わせで男か女かが決まる、ということを私は何の疑問もなく受け入れているけど、ギリシャ神話で「ゼウスがそのように決めた」と説明されるのと違いはないというのはその通り。そんな思ってもいなかった概念が目白押しの本で、夢中になって読んだ。
そして生命の進化はブリコラージュ(ありあわせの道具と材料を用いてものをつくる手続きを示す)、決して効率的に進化しているわけではない、と言う話は更に興味深かった。たとえば象の鼻が器用に物を掴めるような万能さを手に入れたのは、たまたま長い鼻しかそこになかったための苦肉の策、となると「進化」というものの見え方が全く変わってくる。二足歩行できるようになって、手が使えるようになった霊長類も、手足の長さがアンバランスで、4足歩行する動物ほどうまく走れず、そこで仕方なしに立つ方向で模索?まあ真実を私に知る由はないけれど。
あるものでいかに生きるか。これは人生そのものだなあと思う。
自分が手に入らないものをいかに手に入れるか、いかに成長するか、その土台になるのはいつも今の自分。それを使ってブリコラージュして、望む方向に近づくべく邁進する。ないものを嘆くだけでは何も変わらない。ないものを補いながら前に進むことを、私はいい人生、そんな風に思っていて。だからこそこの「ブリコラージュ」という概念にとても惹かれたのだと思う。
2021年も私なりの精一杯のブリコラージュができますように。
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