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10/100 江國香織著「いくつもの週末」/いつも週末だったら、私たちは木端微塵

4月から休業していた渋谷西武が5月23日から営業を再開すると言う嬉しいニュース。どんどんと私の好きな日常が戻ってくる。

自分にとって「食」がマストなのは知っていたけど、買い物に恋い焦がれるとは意外だった。
いつも履いているバレエシューズは連日の公園通いでボロボロ。なのに、敢えてネットで取り寄せず、店舗が開くのを心待ちにしている。そして欲しいと思っているバッグがあって、それを手に入れるのが、私がずっと楽しみにしている、コロナ明けのハイライト。

もうすぐコロナが明けると確信すればするほど、今の生活のストレス具合を痛感する。
楽しく過ごすことに尽力したけど、やっぱり今までの世界には敵わないのだ。今は通るたびにうんざりしていたスクランブル交差点の人の波ですら懐かしく、早くあの交差点を横断したいとさえ思っている。

そしてコロナ中、いちばんよくなかったのは、彼と四六時中一緒にいたことだった。大きなケンカをした訳ではないけれど、家事のやり方や食事の取り方など、ちょっとした言い争いが増えた。

彼と付き合い始め当時の私の願いは、四六時中彼と一緒にいることだった。なのに叶って気づいた哀しい現実。ただ適度に離れていた方がもっと丁寧に関係を紡げる、今はそう思う。

頭に浮かんだのは江國香織のエッセイのこの一節。

いつも週末みたいな人生ならいいのに、と心から思う。でも本当は知っているのだ。いつも週末だったら私たちはまちがいなく木端微塵だ。
南の島で木端微塵。
ちょっと憧れない事もないけれど。
江國香織「いくつもの週末」

木端微塵になる前にコロナが終息して本当によかった。江國香織の心境とシンクロする、そんな心持ち。


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