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うわ、寝坊した、と思って慌てて起きる。
時計を見ると、アラームが鳴る時間まであと1時間あった。
ひどい、おそろしい、仕事の夢を見ていた。
でも、あながち間違った内容ではなかった。
朝の電車の中で、ずっと好きな人のことを考えた。
何をそんなに考えることがあるのか。
次のデートや約束があるわけでもないのに。
苦しくて、一人で泣きながら歩いた道を思い出した。
寂しい女だ、と
隙だらけな女だ、と
変な男に攫われちゃうから
絶対に外で一人で泣いたらだめだよと
別れた彼氏に言われたことがあった。
またこれ以上好きになってしまっても、
あの日みたいに苦しくなるばかりだ。
ここまで書いて顔を上げたら、
空が少し晴れていて、満開の桜が見えた。
男は、女は、星の数ほどいるなんていうけれど、
星だって桜だっていつもいつも綺麗に見えるわけではない。
目を凝らしたら、たくさんの星があるのに。
不毛な恋だ。