「人生は早さを競うゲームじゃない!」
人生のタイミング
私はこの夏まで大手出版社でディレクターの仕事をしていました。最近まで細木数子さんの『六星占術』を担当していて、とてもビックリしたことがあります。それは人によって人生で良い時期、悪い時期がこんなにも違うのか、ということです。
自分が“人生で最悪だ……”というタイミングに、「友達から彼氏ができた」「結婚が決まった」「出世した」なんて言われると、なんだか自分だけ取り残された気がして心から祝福できなかったなんていう経験はありませんか? そして、素直に喜べない自分を責め、“私って心が狭いのかな……”と、さらに落ち込んでしまうことも。私もこの夏、仕事を辞めるタイミングで同じような気持ちを経験しました。
でも、みなさんに知ってもらいたいのです。人生のタイミングは人によって全然違うということを。
私が担当していた『六星占術』は、12種類の運気が1年ごとに巡っているもので、同じ一年の中でも追い風を受けて何をやってもうまくいく人もいれば、やることなすこと失敗し八方塞りという人もいて、原稿を書きながら“これじゃあ、人によってタイミングは全然違うよなぁ”と思っていました。
結婚は早い者が勝ち!って誰が決めた?
人生で絶好調のタイミングが人によってこんなにも違うのに、結婚や出世は早い方が良いなんていう考えはいったい誰が決めたのでしょうか?
私が結婚したのは、2年前の44歳の時。初婚が晩婚だったので、長い独身生活を送っていました。20代のはじめから女性誌で働いていたので、多くの女性に囲まれて仕事をしていました。だから
「まだ結婚しないの?」
「〇〇さんは来月結婚するらしい」
なんていうのは日常茶飯事で、女同士ということもあり、かなり突っ込んだ会話が飛び交っていました。
中でも私がディレクターをしていた時の編集長が強烈で、
「女は売れ残る前に結婚しなさい!」
「あなたは結婚適齢期をとっくに過ぎているのよ!」
私の親ですら言わないようなことまでいろいろとアドバイスをしてくれていたけど……。当時の私は結婚願望が強いわけでもなく、結婚自体をリアルに考えられなかったので、何を言われてもヘラヘラ笑っていました。
私よりも早く結婚をしているからって、なんでそんなことを言うんだろう? 雲の上の勝ち組から叱られているように感じてしまい、何か言われるたびに気持ちばかり焦ってしまっていました。
もし結婚が早さを競うゲームだとしたら、晩婚の私はそのゲームでは大負けだけど、本来結婚は人生においてしてもしなくてもどちらでも良い自由なもの。女性は出産のリミットがあるから早く結婚した方がいいという道理もわかります。
でも、今になっては当時の私に言ってあげたいんです。
「既婚者からの恐ろしいアドバイスに気持ちを乱される必要なんてないよ。だって人生のリズムは人それぞれ違うんだから」って。
この時代、持つべきものは自分軸
「適齢期」とか「一般的」なんて言う言葉もあるけど、それはどこかの誰かが勝手に決めた無意味な価値観にすぎません。いまの時代はたくさんの選択肢から自分で選べて、個性や性質が重視されています。だからこそ、自分にとっての“幸せの基準”をしっかりと持っている人が一番強いと思うのです。
確かに椅子取りゲームみたいに、結婚や出世は早く椅子に座ってしまうほうが安心するのかもしれません。ですが、いまは“椅子になんて座らない”という選択もアリの時代。早さを競うスピード感よりも、“自分が満足している”“幸せだと感じている”ということの方がずっと大切だと思うのです。だからこそ、しっかりと持っていたいのは「自分軸」。
「自分にとって何が幸せ?」
「これからどうなりたい?」
この答えを自分の中でしっかりと持っていれば、マウントを採ってくる既婚者や世間の声にも焦らずにいられますよね。
他人の声やペースに流されず、自分のペースで人生を選んでいく。
これこそがいま、私たちに必要なことだと思っています。
では、また次回お会いしましょう。
西村真紀
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