DJ KOOが降臨したあるコロナ禍の夜(阿智村)
私にとって、一生忘れられないライブがある。
「なにを大げさな」と思われるかもしれないけど、2020年夏というコロナ禍の真っ只中、標高1400mの山の上にDJ KOOさんが降臨し、満天の星空の下で繰り広げたパフォーマンスは、本当に心を打つものだったのだ。
阿智村は、恵那山の東麓、伊那谷の南端に位置する山深い村。環境省の「全国星空継続観察」で"星がもっとも輝いて見える場所"の第1位を記録したことから、国内有数の天体観測スポットとして知られている。
そんな阿智村には、星空のナイトツアーを実施しているスキー場「ヘブンスそのはら」があり、2020年8月某日、場内の特設ステージでDJ KOOさんのスペシャルライブが行なわれたのだ。
この時期はたしかコロナ第二波がピークを少し過ぎたくらいのタイミングで、「ライブなんてとんでもない」という空気感がムンムンだった。それでも私は「DJ KOOが阿智村に来る」ということに衝動を抑えられず、まわりの誰にも言わず、たった一人でライブに参加することにした。
なにを隠そう、昭和生まれ平成育ちの私にとって、TKファミリーは憧れそのもの。TRFとglobeなら、イントロを聴けばだいたいどの曲か言い当てられる(はず)。「あれもダメ」「これもダメ」という状況のなかで、エンターテイメントにどうしようもなく飢えていた部分もあったのかもしれない。
DJ KOOさんが最初に流したのは、SEKAI NO OWARIの「スターライトパレ―ド」。満天の星空にこのうえなく合う。それからEXILEの「銀河鉄道999」(EXILE)、SMAPの「夜空ノムコウ」などなど……。そしていつの間にかTKファミリーの曲になり、往年のヒットソングを畳みかけるDJ KOOさん😢
もちろんマスク着用で声出しNGだったので、私たち観客は無言で、ライトを点けたスマホをペンライトのように振りながら、音楽を全身に浴びた。
あのときエンターテイメントを止めなかったDJ KOOさんとAVEX、阿智村には本当に感謝しかないし、あのとき受け取った喜びは別の誰かに繋げていきたいと思う今日この頃である。