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推し映画について語る8:「春を告げる町」

仮設の映画館」で「春を告げる町」を観るのが楽しみすぎて、テンションが高まってnoteを書いてしまった昨夜。そして本日、比較的自宅のwi-fiが繋がりやすい午前中を狙って「11時の回」と称し、鑑賞しました!本当に、素晴らしい作品でした。仮設の映画館、チケットを購入すると24時間視聴できるので、ちょっと休憩をはさんで「夜の回」も設けて2回目鑑賞させていただきました。

推し映画について語る8:「春を告げる町」

2020年3月21日公開。私は元町映画館でフライヤーを手にしてから、ずっと上映を楽しみにしていました。理由は、ドキュメンタリー映画が大好きだからです。

すべてのドキュメンタリー映画は、観るだけで絶対に何かしらの学びがあると思っているので、私にとっては、優れた本を読むのと同じ感覚です。自分以外の誰かの言動を追うことは、必ず新たな価値観の発見や、知識を得ることに繋がると思っているので。

そして、福島県双葉郡広野町が舞台ということで、”今”の福島を知りたい、とも思っていました。

本当の復興とは何か?
その答えを、希望とともに映し出す。
東日本大震災の発生直後から全町避難を余儀なくされ、東京電力や自衛隊の前線基地となった福島県双葉郡広野町。あれから9年――「復興五輪」をかかげる2020年東京オリンピックの聖火リレーは、この町からスタートする。けれど、その「復興」って何だろう? 「絆」「再生」「共同体」といった言葉に、つい白々さを感じてしまう……そんなあなたにこそ、この映画を観てほしい。『春を告げる町』が描くのは、華やかでシンボリックなセレモニーの後景で、こつこつと日々の暮らしを築いていく人びとの営み。この土地で新たに生まれ、すくすくと育っていく子どもたちの物語。被災体験をモチーフに演劇をつくりあげる高校生たちの青春。広野町を流れるいくつもの時間が交差し、重なりあい、やがて未来をかたちづくっていく。(公式サイトより)

鑑賞後の感想

序盤、映写機のトラブル(=自宅のWi-Fi不調)による中断もあったものの、画質を多少下げたら視聴できました、焦った。笑

まずオープニング、初日の出を眺める渡邉さんご一家の微笑ましいやりとりからスタートします。その、朝焼けの空の、透明な美しさが、本当に素晴らしくて。海のむこうから光が差していく、そういうシーンでこの作品が始まるのが、とても、グッときました。

福島県は一度、仕事で行ったことがあります。滞在時間がすごく短かったので、いつかゆっくり訪れてみたい、憧れの土地です。そんな福島の、自然の豊かさとか、広野町で生きる人々のあたたかさとか、こちらまで頬が緩んじゃうような笑顔とか。じわじわと心が温かくなるような、そんな映画でした。

正直、鑑賞するまでは「復興五輪なんて言っても、実際は、現実は」という内容なのかなと思っていたのです。でもちょっと、違いました。こんなふうに、あったかい気持ちで満たされるなんて、予想外でした。

映画で出会える人達がとても良くて、皆さん本当に自然で、あたたかくて、楽しい人達ばかりでした。撮り手との信頼関係の賜物なのかな、と感じます。

本当に、観れてよかったです。素晴らしい作品でした。「仮設の映画館」で上映してくださって、本当に感謝しています。

印象的な場面:演劇部

一番印象的だったのは、ふたば未来学園高等学校の演劇部の皆さんの姿です。「本当の復興って何だ?」と問い掛ける創作劇をつくり上げながら、それぞれがもがき、ぶつかりあいながら、答えのない問いを深掘りしていく姿が、胸にずしんと来ています。簡単に、“復興五輪”とか、言いたくないなと思ったのです、うまく言えないのだけど。

アイデア出しから最後の舞台まで、すこしずつカタチになっていくさまを観ながら、ただでさえ演劇って難しいんだな、としみじみ感じていて。構成作家(演出家)と演者のぶつかり合いをうまく消化・昇華してつくりあげていく行為が、難しく、面白いところなんだろうな…という面もあります。が、今回は誰も正解を知らない、それぞれに思うことが違う、そして言葉にしにくいテーマを掘り下げていくしんどさがある。凄いことに取り組んでいるんだなと思いました。顧問の先生の鋭い指摘が、ものすごく本質を突いていて。がんばれ、関根さん(演出家さん)…!と思いながら見守っていたし、最後は泣きました。先生の言葉にぐっときて、もらい泣きしてしまいました。何年生きても、もしかしたらスタート地点にすら立てない人がいるかもしれない深い問いに、彼らは真正面から向き合って、自分の解を出そうと頑張ったんだなと。これってすごい学び、経験ですよね。本当に立派だと思います。

印象的な場面:祭の再開

中断してしまった祭を再開させよう、という会議での一場面。再開させましょうって言っても「誰がやるの、綺麗ごとばかり言わんでくれ」と議論が平行線になっていたところへの、保存委員会の方の言葉に、ぐっと来ました。”これまでの歴史の中で、一度も中断されていない祭はないはずで、それでももう一回やろうとなったのは、次の世代に繋げるために、繋いできた人達がいたからじゃないですか…”。現在の、いろんな状況に翻弄されている真っただ中に、染み入る、深くて強い言葉でした。

印象的な場面:ピアノ

帰宅困難区域の自宅に戻られたお父さんと娘さん。アップライトピアノを示したお父さんに「一曲どうぞ」と言われて弾き始めたのが美しいソナタでびっくりしました。

そして全編、BGMが美しいクラシック曲で、すごく印象に残りました。

印象的な場面:広野町の皆さん

元気な女の子3人がいる渡邉さんご一家、おいしそうなお米を作ってらっしゃる新妻さんご一家&アヒル達(可愛い)、明るい松本さんご夫婦&わんこ(可愛い)、カメラに向かって愛を叫ぶ帯刀さん、四倉町の仮設住宅にいらした元気な女性陣。皆さん明るくて朗らかで、ほんとに気持ちのいい方々で。”人がいい”って、こういうことなんだなあ、としみじみ思いました。


本当に、素晴らしい映画でした。観れないかもしれない、と諦めかけていたので、仮設の映画館で観られて、本当に良かった!場を用意してくださった配給の東風さんに感謝です。この映画からいただいた問いは、自分の中でも、ずっと考え続け、深堀していきたいです。

仮設の映画館、推しの映画館を選んで鑑賞できるのが最高ですよね。私はもともと鑑賞予定だった元町映画館で観ました!この▼画像にときめいた。上映前のCMも素敵でした。

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あと、個人的に、映画館で鑑賞した作品だけを纏めている「映画ノート」に、久々に追加できたのが、本当に嬉しくて堪らなかったです。Netflix等の配信で鑑賞した作品はページを分けているので、ここに追加したのは本当に久々でした。次は「精神0」を観よう!楽しみです。

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