アークナイツの「バベル」を読んで旧ドクターの肩を持つ

Wと同じテレジアロスを味わった人ー

私です……
内容が結構重たい事もあり、しかもザ・シャード計画おまえかーい
テレシスにどんな顔向けてヴィクトリアに向かってるんだ自分……
等々

色々考えてしまったり、アークナイツで燃料でもあり悲劇の元でもある源石計画を推進していたのがドクターでもあるという事で
今のオペレーター達にどの面して接すれば良いんだ……等
色々メンタルに来てしまった人に対して
何故バベルの結末になってしまったか……というのを冷静に列挙し、実はバベルドクターの記憶が消去されようがされていなかろうが現ドクターの罪には情状酌量の余地があるという事を淡々と説きます
(ネタバレ一部ネタ有り)

その0.ドクターが起きる前に起きていた事

バベルの物語はアークナイツ版国境なき医師団が紛争の最前線(カズデル)で治療や教育などを施す所から始まります、結果的にサルカズ全体の教育・道徳レベルが著しく低いせいでバベル側の人員が少なくない人が殺される又は重傷を負う事になります。

この時点でケルシーとテレジアにはその無名の善良な人達が亡くなっていった責任を取る必要があります責任を取るというのは現状に則った適切な判断を行うという事です、しかし暴力には暴力(このケースで言うとグッドラックをアスカロンが殺した例)でバベル側が防衛する形となり、最終的にバベル側の教師がサルカズ一般人と喧嘩になり、殺めてしまった事が引き金になって、バベルはカズデルから離脱。テレシス保守派とテレジア急進派で勢力が分かれる事になります

ケルシーとテレジアは起こってしまった事態や理想と違う現状に対して現状維持で今は効果が見えないが時間が何とかする、という判断をしてしまいました
テレシスは「時間こそが最も貴重な資源」である事を理解しています、しかもサブプランとしてその上でテレジアの行動を容認する時間と自由を与えました 軍事委員会の妨害と言う要素はあったかもしれませんが、現実から見てテレシス側の理が正しかったという事になります

正直に言ってしまえば、カズデルの問題を何とかするにも劇中のバベルの組織規模では教育や食料問題の対処等不可能なのです。
テレジアは正直理想に傾きすぎていたと言えます

これは現実においても中東の紛争問題、アフリカへの食糧供給等本来は略奪や学校の破壊を防ぐ為の治安部隊を置いてそれ用の治安が整った区画を用意しない限りは問題が解決しないのと同様です(置いたとしても派遣軍が被害に合う悲劇は起こります)

この辺は組織を運用するノウハウが無かった事が問題であり
本来紛争の本拠地自分達の会社の本社を置いている時点でそれがどれ程無謀な事だったか理解していない面からも伺える事です

現実における国境なき医師団等はフランスやスイスに本拠地を置いて、適切な活動資金や人員確保を行い、紛争地帯に派遣されています(それでも被害は出ていますが、本拠地が爆撃される事が無い為に運営を継続できるのです)

その1.起きた時点で状況は詰んでいた

さて、ドクターはそんな状況でケルシーの判断で石棺から起こされました
ドクターが最初に確認したことは
・源石のログが無い/源石の仕様が本来の想定と異なっている
・他の旧人類存続策が軒並みデータを確認出来ない
・ケルシーの友人テレジアが困っている

概ね3つです、3つの問題の内ドクターが対処を要求されたのは2つ
他の旧人類存続策は管轄外でもあるので一旦保留して良いでしょう
源石に関しては例えるなら

ある程度デバックも済んで完成したので有給使って一週間休んでたら
その間に共同開発者の人が唐突に仕様を変更し、変更したログやコメントを削除し退社、その後入社した新人が引継ぎも無く何とかバグを消そうとスパゲッティコードを生成していたらバグどころか本来の機能すら消す機能を実装しており 納品2日後の状態でドクターに引き継がれるという状態、その時にどう判断をするかと言えば

1から書き直した方が早いor バグの影響はクライアントにとっては無問題な範囲なので無視して一旦納品をする

と言う事になる、しかし旧ドクターのもう一つ可哀想な点はその短い納期の中、そのバグを何とかしようとしていた新人がとてつもない家庭問題を抱えて裁判中であり、そっちの相談と対処も同時にしてほしいという事である

目の前の仕事があるのにそっちのプライベートも解決をしてください
というのはプレイングマネージャーとしては一番メンタルに来る事案だろう
しかもそっちの問題はドクターと殆ど関係が無い

どれ位辛いかと言えば炎上案件をこなしている最中に離婚問題で家庭裁判所に度々足を運んだり、親権問題や財産分与の話をしなきゃいけない位辛い

正直に言えば、テレジアとケルシーは源石問題内乱問題、どちらかはドクターに頼らず自己判断をし、ドクターの負担を軽減する努力を行う必要が間違いなくありました(もっと心を開いて欲しいとは言ってたけど、色んな事情がある上でみんながみんな上司に心を開けるわけではない)

この辺でもテレジアとケルシーはバベル創立時から続く問題として判断する事をしていないのです、つまるところカリスマはあってもリーダーとしての素養がこの2人にあまり無かった事が悲劇に繋がっていると言えるでしょう

その2.テレジアの死はドクターの責任か


バベルを読んだ際、ドクターがテレジアを殺したという事実にショックを受けたと思います
しかし問題はドクターが殺した事にあるのではなくタイムリミットが既にテレジアには無かったという事に問題があるのです、偶々その決定権を握るポジションにいてしまったのがドクターだったという事

源石の問題は一旦置いたとしても、カズデルの内乱問題、民衆のストレスは喫緊の問題でした、軍事委員会からみても分裂している状態は当然他のリターニアやヴィクトリアにとってはカズデルへ攻め込む良い口実になります
カズデルを再度失う事になればテレシスもテレジアも理想云々を唱えられる土壌が全て無くなり、現行のシナリオでへドリーが指摘する通り、二度とサルカズが団結する事も無くなる事になります

テレシスの理解の通り時間が最も貴重な資源なのです

テレジアはもし理想の為により長く生きる事を求めるのであればもっと早くに自分で決断する必要がありました

〇自分の案が時期尚早である事を理解し、一旦テレシス・軍事委員会案に迎合し、テレシスの傀儡としてサルカズを一旦取り纏める(その為にヴィクトリア内乱を起こし、テラ中の反サルカズ感情が上がる事も黙認する)

〇またはテレシス案を黙認し、カズデルから更に離れて一旦人員や組織規模を大きくする案

しかしテレジアにはその両方を飲み込む事は出来なかったでしょう
あくまで理念(旗)を掲げるジャンヌダルク的なポジションで、政治を行う人では無かった為、ドクターに判断をしてもらっていたのです

故にドクターが出したカズデル奪取案に賛成し、ドクターが効率的に作戦を遂行するマシンになっているという部下の指摘に対しても
「優れた指揮官とはそういうもの」と対処を放棄しているのです

その3.手遅れの結果として起こった事

結果ドクターは当初のクライアント(旧人類)に向けて源石問題の解決を優先しました、
思考誘導・刷り込みの問題等はあったかもしれません、しかし問題はそこではないのです

カズデルの内乱問題自体ドクターに何の責任も無いという事です

ドクターが諸悪の根源だ、ドクターがテレジアを殺した
という事でダメージを負っているのは
源石の開発者であるという事とカズデルの内乱問題でテレジアを殺した事の2つが混ざってしまった事でダメージが大きくなっているのですが

冷静に考えればテレジアが死んだのはカズデルの内乱問題に対して適切な対処が出来なかった結果、死に至ったのです

ドクターはそもそもテレシスとの密会の時点でテレジアが死ぬ事を最初は容認していません、ザ・シャードを渡す事でバベルメンバーの助命嘆願を行っていました、テレシスが 「テレジアを殺さないと内乱は収まらない」と伝えた事に、源石破壊問題も一緒に解決出来る事からドクターが了承した事は事実ですが、ドクターも本来はテレジアを生存させる想定でした

言い換えればカズデルの内乱問題はドクターの指揮力を持っても最終的に敗北する事が確定していたのです、そうでなければテレシスと密会せず、単純に作戦に勝ってカズデルを奪取して、統治を行えば良いでしょう

問題はそれがそもそも不可能だとドクターが判断した事です、カズデルを奪取した所でテレジアの理想を達成するには源石問題と当面のカズデルの治安と教育レベルが極めて足りない、つまりバベルの組織力の問題と戦略レベルの問題でテレジアの理想は達成不可能であったと結論付けて良いと思います

その4.ロドスに生まれ変わった結果

結果的にロドスという形で組織が生まれ変わり、各組織と協力関係を結び、カズデルの近辺に居を置かない形にした事で様々な影響力を持って各事務所の設立等に成功しています、この辺りはケルシーの調整能力(長年生きた故の人脈)やアーミヤの人徳や普遍的な種族であった事も影響を与えているでしょう
特にケルシーの本来のポテンシャルは人脈だった訳ですが、カズデル周辺から解放された事で本来のケルシーパワーを発揮できるようになった事がロドスの組織力に繋がっているという事になります

もしテレジアがロドスのリーダー又は有力者のままだったら、少なくともラテラーノと協力は出来なかった上、やはりどこまでもカズデル・サルカズの問題が付いて回り安定した組織運営どころの話ではなくなります

その5.邨占ォ

オラクルは残念ながらテレジアの独断によって消去されましたが、元々持ち得るリソースや情報から見ても、刷り込みや情報操作関係無く、あの時点で、テレジアが用意した組織では源石問題を根本から解決させる事は元々不可能だったので、ザ・シャードの起動を選択したという見方も出来ます
そして内乱問題も、テレジア側の勝利は不可能だった為にテレジアを切り捨てた結果バベル存続からロドスへ繋がった面からも結果的に言えば合理的で正しい判断だったと言えるでしょう

オラクルは持ち得る資源や情報から阻隔層も知らない原始人を優先せず、最大限の目的を達成する為に努力をしました
ロドスに加入した"ドクター"もまた大きな代償を伴う選択をする事になるでしょう

正しい判断をする事を願っています



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