風鈴が鳴る
うちの上司はとにかく小さな不幸に弱い。
例えば会議中に送風機の強風がスポット的にずっと当たってるとか、定食屋さんで昼食を取っていると、後ろを通った店員さんが手を滑らせて味噌汁が襟元に流れ込むとか。
通勤中に1人だけゲリラ豪雨に襲われて、靴がびちょびちょになってしまうとか、それでもって替えの靴下を買って来たら新品なのに穴が開いていたとか。
小さな不幸選手権があればぶっちぎりの優勝なんじゃないかと思うほどなんですが、そんな上司も先日うちの部署で先陣を切ってコロナにかかってしまい、その後遺症が辛くてめちゃくちゃ寝てしまうらしいです。
「昨日も休みなのに、なんだか眠くて9時間も寝ちゃってたよ〜、それはそれで身体がしんどくてさ〜」
などどボヤいていたのですが、その後少しして同じく罹患したBさんが私たちの前を通りかかり
「後遺症かなんかで、眠たくてさ〜9時間も寝ちゃったよ〜!でも、普段そんなに休む事も無いから逆に元気になっちゃったな〜!」
などと絵に描いたような正反対さで明るく私に報告してくれました。
同じ事象でここまでの違いがあると、幸も不幸も気の持ちようなのではないかと思ってしまいますね。
一方私は、最近急に風鈴が欲しくなり浅草とか日本橋とかありとあらゆる雑貨屋を巡ったんですが、意外にも売ってないんですね風鈴って。
売ってたとしても2、3個程度でバリエーションも少なくてイマイチ決め手に欠ける感じでした。
同僚にも「風鈴ってどこに売ってるんだろうね〜。見つかんなくてさ〜。」などと言っていたところ、先日、出張中に同僚と立ち寄ったお店で偶然にも風鈴フェアを発見!
嬉しくなってきゃいきゃい言ってたら、通りかかった店員さんから「それ、午後には撤去しようと思ってたんですよー!良かったです〜♪」と言われ歓喜。タイミングってあるんですね。
そしてその夜、チョコクロ食べたいな〜と思い、帰りにサンマルクカフェに立ち寄ったんですね。しかし、ふとレジを見るとチョコクロがあと一つしか残ってないではないですか、、、!
だが私の前には5人のお客さんが並んでいる。
1人、2人とお会計していき、まだチョコクロは残っている。ホッと胸を撫で下ろす私。
無事に食べられるかと思ったその時!
最後の1人、目の前のOLさんが徐にトングを取り、、、、トレイを持ったーっ!
ずんずんとパンコーナーに歩みを進めていく彼女。
もう、私のチョコクロもここまでかっ、、と思ったその時、OLさんのトングはチョコクロをすり抜けて、その隣のデニッシュを捕まえたぁあああ!!
、、、勝った。
私はウィニングランをするが如く、颯爽とパンコーナーへ向かい、最後の一つとなったチョコクロを左手のトレイに掬い上げ、その中央に鎮座させたのであった。
無事にチョコクロを手に入れた私は、家に帰りニッコニコでそれを味わいながら、窓辺にかかる風鈴の音に耳を傾ける。
もしかしたら、この世の中は誰かのプチ不幸とプチ幸せで均衡が取れているのかもしれない、そんな事を考えた今日この頃なのでした。