新入社員へのオンボーディングプロセス 7つのステップ
オンボーディング・プロセスとは新入社員を円滑に職場に馴染ませ早期に戦力となるように働きかけるプロセスです。
しかし、米国Gallup社の調査では「88%の企業のオンボーディングは上手くいっていない」という結果があります。
優れたオンボーディング・プロセスを提供する事で従業員エンゲージメント向上・生産性向上が望めるので有効に機能させたいところです。
ここでは新入社員が職場や仕事に満足をして長期的な定着につながる従業員オンボーディングプロセスについて説明していきます。
オンボーディング・プロセスとは?
「新入社員をスムーズに職場に馴染ませて成果を上げる従業員にする為の仕組み」です。
新卒・中途採用を問わず採用した従業員を素早く職場に慣れさせて、仕事を覚えてもらい成果をあげるプロセスにおいて重要なのは「採用から入社後90日」の初期の期間です。
この期間の体験が従業員の定着に大きな影響を持ちます。
もしこの期間の体験(=オンボーディング体験)が悪いものであれば従業員の早期退職に繋がる可能性があります。
その意味でオンボーディング・プロセスの整備は離職防止に効果を発揮します。
実際に米国ClickBoarding社の調査によると「体系的なオンボーディング・プロセスによって3年後の定着率が58%UP、生産性が50%UP」する事が分かっています。
https://www.shrm.org/resourcesandtools/hr-topics/talent-acquisition/pages/dont-underestimate-the-importance-of-effective-onboarding.aspx
オンボーディング・プロセス 7ステップ
オンボーディング・プロセスを成功させる為には体系的なドキュメントやツールが必要です。
以下7つのステップに分けて紹介します。
【Step.0】課題の洗い出し
まず、具体的なステップにいく前段として今現在、従業員エンゲージメントや離職率を改善するために何が必要かを考えます。
例えば「社風が合わない」「仕事内容のミスマッチ」という理由が大きい場合は採用前の段階でこれらを擦り合わせるプロセスに力を入れます。
具体的には採用基準の見直しや同じ価値観の人材を採用する為、社員インタビューをホームページに掲載するなどです。
また「人間関係が上手く行かなかった」という場合には上手く行かなかった要因をつかみ、回避するようサポートするプロセス(例えば1on1やシャッフルランチの導入など)に力を入れる必要があります。
【Step.1】採用活動と面接
採用にあたって、企業として「どのようなポジションの人が欲しいのか?」「会社のミッション、ビジョン、バリュー」を明確に打ち出しておく必要があります。
面接では企業理念に沿った行動が取れる人物か?期待したポジションで成果を上げられる人物か?を見極めます。
<アクションリストの例>
- 候補者とのタッチポイントを全て洗い出す。Webサイト
職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)、面接など。
- 各タッチポイントで上記の求めている役割や会社のミッション
ビジョン、バリューを明確に伝える。
- 更に従業員にとって重要になるであろう事項、休暇や残業
リモートワークの可否などの制度についても明記する。
- 面接でそれらの認識合わせをして採用するかを判定する
【Step.2】オフィスツアー
対面で面接ができる場合には同時に行う事も多いオフィスツアーで従業員にどのような環境で働く事になるかのイメージをつけてもらいます。
オフィスは企業文化や滲み出る場所でもあるので、それを入社前に共有する事には大きな意義があります。
<アクションリストの例>
- 実際に業務を行う場所やデスクまで案内する
- 行く先々で社員に紹介する
- 社内のシステム(勤怠システムなど)や設備(フリードリンクなど)について
説明します
- 業務に直接関係ないが、候補者が日常的にみる可能性が高い場所
(トイレ・エレベーター・駐車場・給湯室など)を案内する
【Step.3】採用通知
候補者と一緒に働きたいという熱意を伝える採用通知メールを送りましょう。「あなたを採用します」というメッセージだけでも内容は伝わりますが、今後のよりよい関係性の為には「あなたと働ける事がとても嬉しい、光栄である」という意を伝える事が必要です。
候補者が複数のオファーを受けている場合、そのメッセージの熱量が最後の判断基準になる可能性もあります。
<アクションリストの例>
- 給与条件はこの時までに決定する
- 候補者のどのような部分に惹かれて採用通知を出したかを記述する
- 改めて職務内容や期待する事項を明記する
(これが入社後のギャップを無くす最後のチャンスです)
- 承諾がもらえた場合は、一緒に働ける事を嬉しく思っている旨を伝える
- 入社日を決定する
【Step.4】入社前日まで
採用通知に承諾を得られると本格的にオンボーディング・プロセスがスタートします。こちらの調査 では「ほとんどの組織はオンボーディング=入社後1週間のことと認識している」という結果が出ています。
しかし入社前のこの期間もオンボーディング施策を行う重要な期間となります。
<アクションリストの例>
- いままでより詳細な情報を共有する
- 入社後のスケジュール表(少なくとも1週間は)
- 課題と目標のチェックリストもあるとベター
- 会社から付与するメールアドレス、電話番号
- コミュニケーションツールへのアクセス情報
- 配属チーム全員から「あなたと仕事をする事を楽しみにしている」旨のウェルカムメッセージをメールする。もしくはウェルカムボードにして初日にプレゼントする。
- 入社前に不安や不明点がある場合の連絡先を明確に伝えておく
【Step.5】入社初日
新入社員が歓迎されていると感じ、印象的な日になるように計画しましょう。
<アクションリストの例>
- 新入社員を歓迎するミーティングやウェルカム・ランチを行う。
(これはリモートであっても重要です)
- 仕事の詳細より新入社員自身の事について話を広げると良いでしょう
- 会社のロゴ入りのアパレルや事務用品を詰めた「ウェルカムキット」を
プレゼントする
- 初日から経営層が参加する会議に参加してもらう。
新入社員に期待をかけている事を表す意味もある。
【Step.6】入社後1週間
入社前に伝えた「あなたに期待する事」「会社のミッション・ビジョン・バリュー」が現場レベルで齟齬がないかを実感して、良い形で将来も働いていけるイメージをつけてもらう期間です。
ここで良いイメージをつけてもらえれば従業員エンゲージメントが向上し定着する可能性が一気に高まります。
オンボーディング施策の為に既存社員のリソースを必要とする事も出てくると思いますが必要な投資であると認識しておきましょう。
<アクションリストの例>
- チーム外の関係者(違う部署の人たち)に会って挨拶する機会を
スケジュールする
- 中でも「経営層」「ハイ・パフォーマー従業員」「一番新しい新入社員」
との場をセットする
- 初年度の目標、ストレッチゴールを決める
- 評価制度について詳細を説明する
【Step.7】入社後2週間〜
継続的に新入社員が職場に馴染んで力を発揮するようにサポートします。
<アクションリストの例>
- 良い関係性の構築、相互理解を目的としたチームビルディング
アクティビティを行う
参考URL:https://ikusa.jp/20180322319/
- 1週間、30日、60日にパルスチェックを行う。
(質問項目の例は後述します)
- マネージャーによる定期的な1on1導入する
- 部署を超えて交流するシャッフルランチを行う
オンボーディング・サーベイの質問項目
1週間後のサーベイ
- 全体的に採用〜入社して今までのオンボーディング・プロセスに満足している
- 入社日までのサポートや情報共有に満足している
- 入社日までに共有された情報は「自分が何を期待されていているか?」
を知るのに役立ちました
- 入社日までに何か疑問があった時には担当者に相談できる環境があった
- 入社日までのプロセスで何か改善点はありますか?
- 入社日に歓迎されていると感じた
- 入社日の中で改善点はありますか?
- 入社日に仕事をする場所が整っていて、仕事を始めるのに必要なモノが
そろっていました
- 入社後の人事・福利厚生・各種書類作成についてどこに聞けばよいか
分かっている
30日後、60日後、90日後のサーベイ
- マネージャーはあなたを歓迎している
- 同僚はあなたを歓迎している
- マネージャーはあなたをチームに溶け込むようサポートしてくれる
- 自分の仕事がどのように評価されるか明確な説明があった
- 社内システムやツールの使い方について教わった
- マネージャーが仕事についてフィードバックしてくれる
- 定期的にマネージャーと思っている事や疑問点について話す機会がある
- 自分に期待されている事とその責任についてよく理解している
- オンボーディング・プロセスを通じて、企業の目標と自分の役割の
関係性が明確になった
- 面接などで伝えた仕事内容と実際に行っている仕事に乖離はない
- オリエンテーションに満足している
- チームに溶け込めていると思う
- あなたはこの会社で勤める事を友人におすすめしますか?
- 他に何かオンボーディング・プロセスについてご意見があれば教えて
ください
- もしあなたの友人が同じ職場に入社する事になったらオンボーディングに
ついて、どのように伝えますか?(よかった事、悪かった事)(*)
- 一言でオンボーディング・プロセスを表すとしたら?(*)
(*)は90日後のみ
まとめ
以上、オンボーディング・プロセス 7ステップを紹介しました。
実際にどのようなプロセスにするのかは企業文化によって変わる部分もあるので自社に合う形でカスタマイズする必要があります。
オンボーディング・プロセスの整備は従業員エンゲージメントの向上、引いては従業員の定着・離職防止の有力な手段となりますので是非参照して頂ければと思います。
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