二日酔いとスウェーデン、あと裸体

や~きゅ~う~を、す~るなら~


隣のテーブルから賑やかな声が聞こえてくる。野球拳だ。
この出だしで野球拳以外ならば、私はこのグラスに入ったレッド・アイをイッキ飲みしようと思う。


こ~ゆ~ぐ~あいに~


私は勝利を確信した。野球拳だな。そういえば私は野球をしたことがない。私の両親はどっちとも公務員で、私の幼少期はピアノだとか習字だとかの、お堅い習い事に時間を費やしていた。


近所に住んでた綾香ちゃん元気かな。綾香ちゃんは活発な少女で、野球にサッカーにセパタクロー。何でもこなすユーティリティープレーヤーだった。


いかん、あらぬ事を考えてしまった。綾香ちゃんなんて幼なじみいねぇわ。まさに ❝在らぬ事❞ なんちゃって。


二日酔いかな。気分悪いわ。は~ぁ、どっちにしろこの後あの野球拳の敗者の裸体を見ねばならないので陰鬱は避けられない。


し~りゃ~しゃんせ~


終盤だ。この歌詞の間、わずか0.5秒弱の間に作り上げた綾香ちゃんの顔が走馬灯のように浮かぶ。


あうと!せーふ!よよいの......
(どっちだ...!?)
トラヴェンタール条約
( トラヴェンタール条約!?)


今日のレッド・アイはスカンディナビア半島の味がした

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