大きめのダルマ
うちのリビングには、大きめのダルマが置いてある。
どのくらい大きめのダルマかというと、小学校の頃にダルマの身長を追い抜かした記念でケーキを買ってもらったことがあるくらいだ。
でも、なんでリビングに大きめのダルマが置いてあるのか、未だに聞くことが出来ていない。家に友達を呼ぶと必ずこの話題が上がるのだが、理由を問われても上手く答えることが出来ないのが非常にもどかしい
今日こそ、この大きめのダルマが何なのか、問い詰めてやるんだ。
「ただいまー」
「あ、母さん、ちょっと話があるんだけど」
「ん、爆発した?」
「何が??してないよ、ダルマだよ。あのダルマ何なの?」
「んーとねぇ、あれはねぇ...
うーん、あのダルマは夢にまっすぐな若者に、頑張れを言っているのよ」
「え?」
「仕事とか、結婚とか、自分の将来を心配して、潰れてしまいそうな、そんな若者の背中を押してくれているのよ」
「あ、うん... そうなんだ...」
僕は大きめのダルマに目を見やって、視線をそらす
僕はこれから大学を出て、就職をして、年を重ねて...
人生ってなんなんだろ、
そんなことを考えていると、大きめのダルマのことなんか、どうでもよくなってしまったね。
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