ガラスの都
ガラス貼りの道の上に
ガラス色の光が降り注ぐと
光が反射して散らばり
方々でキラキラ輝く
不意にひょろひょろと
小さなシロヘビが
ガラスの上を流れるように
這い進む
ガラスの都がそびえ立つ
訪れる人 住まう人
それは忘れ去られた
所々 欠け崩れ
どこかひとつが壊れたら
続けざまに
砕け落ちていく
ガラスのターミナル
旅立つ人々は
とうの昔に途絶えていた
ガラスの列車が停車することも
ガラスの切符が切られることも
なかった
ガラスの地面の下に
生き埋めの人々がいた
どこからか吹いてくる
生暖かな風が鼻先をくすぐる
なにか苦しい
なにか落ち着かない
でも なにもできない
日が傾くにつれ
闇がガラスの都を覆う
囚われの人々は蠢き始めたのか
キンッとか ピシッとか
そこかしこで
地面に亀裂が生じる音がする
今にも
人々は床を押し上げて
這い出てきそうだ
小さなシロヘビは
ガラスのタイルの隙間から
地面に潜っていったようだ