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詩『血の舞踏』

貴族の者達は煌びやかな世界に浸り
彼らは特別な存在で
病とは無縁なのだと信じ込んでいた

けれど、舞踏会の浮かれた広間の外に
忍び寄る、恐怖、伝染、混乱、そして死
招かれざる客、パニックに覆われる舞踏会
狂乱、悲劇、紳士淑女のヒステリー

感染者はおぼつかない足取りで
正気な者の服の裾を引っ張る
仮面の下の正体を目にして凍りつく
仮面の下の正体は赤い死を両手に抱えた伝染病
奪われた平穏、悪魔の手のうちでは逃れられない
人々の命の灯火は無惨に消えてゆくばかり