まんどろお月さま つながってゆく
札幌にあった「くすみ書房」店主 久住邦晴さんの本『奇跡の本屋をつくりたい』を先日私が読んでいたのを知ってのことでしょう。
「久住さんは『死にゆく者からの言葉』という本をおすすめしていましたよ」と、読書仲間が教えてくれました。
そんな流れで出会った本。
『死にゆく者からの言葉』
鈴木秀子
文藝春秋
日本で一番この本を売っていたという「くすみ書房」の久住さんが、中でもおすすめされていたらしい「まんどろお月さま」を真っ先に読みました。
涙が出ました。
どんなに立派な人も、中身は素朴な人間で、核となっているところは子どもの時の魂そのもので。
最後は「かあさん」。
そこに共感する「かあさん」のような人たち。
まんどろお月さま。
「まんどろ」という言葉。
なんだかとっても心地よい。
津軽の言葉なんだそうです。
とっても明るく光り輝いている状態を表すそうですよ。
「どろ」っとしている音なのに、どうしてこんなに私の胸に心地よく響くのかしら。
この本から、もうひとつ読んでみようと目次に目をやると「パンドラの匣」というタイトルに目が止まったのでそちらも読んでみました。
自分の人生に満足していることに気づいた翌日、若くして天へ召されてしまったひとりの女性のお話。この本を読む時間は、お空にいった大事な人たちを胸に感じる時間にもなると思います。
読み始めてすぐにわかりました。
やはり太宰治の「パンドラの匣」とつながるお話でした。
いろんなものがつながってゆく。
私が高校生の頃、夏休み中に読みたいおすすめ本リストの中に「人間失格」などのタイトルを目にすることがあったけど、普通、こんなタイトルの本、読みたいと思いませんよね。笑
私もそうでした。
でもある日、駅横の古書店で50円くらいで売られていた太宰治の『パンドラの匣』を連れ帰ってみたら、そこに描かれている儚くて透明な空気感に一瞬で引き込まれてしまいました。
なんだか、いけないものに手を出してしまったような感覚を覚えつつ、太宰ファンになったきっかけの一冊が新潮文庫の『パンドラの匣』でした。
久住さんの本を読んで、読書仲間からのお知らせがあり、『死にゆく者からの言葉』を手に取って、「まんどろお月さま」を読む。同書の中に「パンドラの匣」を見つけ、死ととなり合わせの中の一筋の希望、太宰治の世界へと久しぶりに帰ってゆく感覚…。
今読んでいる本と、10代の頃に読んでいた本が一瞬で繋がって、自分の中にまるまるっと存在している何かを感じる。
まんどろお月さま。
「まんどろ」という言葉が津軽の方言だと知った直後に、別の作品で津軽出身の太宰の作品にフワッと入っていくこの流れにも、不思議なつながりを感じました。
【本日のキーワード】
ひとつにつながっていく
まんどろお月さま
伸びて行く方向に陽が当たる
当然、久しぶりに太宰の『パンドラの匣』を読みたくなっています。
「本を読んだらアウトプットする」を1ヶ月続けてみようと思っているので、アウトプットに時間をとられてしまうため、読書時間は近ごろ少なめ。苦しい!!笑
しかし、この流れに乗れたのも、少なからず私がアウトプットしていたから。
昨日の話にも通じるけれど、孤独感の中にいる人は、何かしらのアウトプットをしてみたら良いのかもしれません。
つながって、広がってゆく。
そしてほら、伸びてゆく方向に陽が当たる… ハズ!
▼『孤独を生きる』齋藤孝
▼くすみ書房 店主 久住邦晴『奇跡の本屋をつくりたい』
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