魔界と鶴姫
スタート時から一貫して魔界の中心にいるのは志田光演じる鶴姫です。
スタート時は、どちらかというと現WWEのASUKAこと華名選手演じる巴御前と丸山敦選手演じる義経の鎌倉コンビのストーリーを中心にする予定でした。
しかし、1回目の鶴姫の「可憐ながらしなやかな強さ」を見た時からストーリーの中心は鶴姫に移りました。
魔界は、原則的に公演終了時に次回の台本を出演者に渡すことにしています。つまり、大体2ヶ月前に次回台本を手がけることになります。
これは、なるだけ1回、1回の公演そのもので起こるハイブリッター(出演者)の「変化」をストーリーに生かすためです。(もちろん、怪我などによる出演不可の対策もあります。)
鶴姫はその「変化」が最も顕著でした。
当時、フリーになったばかりの志田光と、大三島という縛りの中から魔界に放り込まれた鶴姫がまるで一心同体のように魔界で輝きを放っていました。
主役に抜擢するというより「自然」にストーリーがそうなったと言う方が正しいでしょう。
主役になるとそこには他のハイブリッターにはない制約が生まれます。主役はストーリーテラーであり、表現の自由度は大幅に減ります。存在すること自体がストーリーになっているので、見せ場やキャラクターを立たせることはストーリーの大幅な転換点に限られます。
その中で鶴姫はある大きな「計算外」のものを持ち込んでくれました。
それは「成長」です。
4年前のと現在の鶴姫は明らかに成長を感じられます。4年前はあどけなさが残る可憐な少女だったのが、いくつもの修羅場を超え、ひとりの女性、ひとりの戦士としての成長が感じられます。
物理的な時間が経過しているのであたりまえだと思われそうですが、魔界は強烈なキャラクターが設定がそれぞれにあり、どのキャラクターも基本的な設定は変わりません。わかりやすく比較すると、鬼道丸や夕顔といったキャラクターは4年前と変化はあっても「成長」はありません。
それは魔界という空間が「止まった空間」であり「無限に続く輪廻の空間」だからです。
ところが鶴姫にはその魔界のルールが通用しないのです。
現在、2016年の魔界のふりかえり配信をFacebookで行っていますが、1年前と現在でも鶴姫は成長をしています。魔界で唯一変化、成長するキャラクター。それが鶴姫が魔界の中心である所以です。
2017年の魔界も後半に入ってきましたが、鶴姫はさらに成長を続けるでしょう。そしてそこには新たな大きな敵が現れることになります。
今回のBLACK MAGIC ORCHESTRAはそんな鶴姫の新しい戦いの序章となるでしょう。
ぜひその目で鶴姫に触れてほしいものです。
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