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人材紹介とスカウト媒体の採用コストの近寄りと、介在価値

先だってTwitterで「大手転職エージェントがどんどんとスカウトサイトになっている」という投稿が話題でした。

人材紹介事業とスカウト事業でデータベースが独立しているケースはこれまであったのですが、現在はいくつか共有するサービスが出てきています。

逆の流れもあり、人材紹介事業のように想定年収に対するn%を成果報酬として受け取るタイプのスカウトサービスが値上げし、人材紹介に近づいているケースもあります。

候補者からこの点について疑問の声を聞くことは少ないのですが、利用企業からは相談やぼやきが多々聞こえてくるところです。そのもやもやを整理をしてみたいと思います。

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人材紹介のスカウトサイト化のもやもや

人材紹介サービスのメリットを2022年に改めて振り返ってみると、キャリアアドバイザが候補者と直接対峙し、コミュニケーションをして貰うことによって自社員に変わって自社のことを紹介し、売り込んで貰うということにあると感じます。

人材紹介の介在価値

人材紹介の価値は下記の4点となると考えています。

  1. 人材の発見

  2. 認知~応募意思獲得までの代行

  3. 選考~内定承諾までのフォロー

  4. 候補者の思考整理

本来、人材紹介であれば認知や応募意思獲得までのステップを代行して貰えるというメリットがあります。また、候補者が選考中もどこと悩んでいるのかをコミュニケーションを取りながら連携が取れるというメリットもあります。ここに人材の発見を加えた3つが、人材紹介の分かりやすい企業側から見た介在価値です。

候補者側からはキャリアの棚卸し、自身が知らなかった企業についての気づきがメリットとして上げられます。企業から見ると内定承諾を得るまでの課程で実は恩恵を受けている可能性はあり、4つめの介在価値だと考えています。

人材紹介とスカウト媒体の違い

スカウト媒体でスカウトをするという行為は「転職をすこしでも考えている人たちの集団に対して能動的に企業が声をかける」という点で、マッチングサービスでアプローチ(いいね)をする行為とあまり変わりがありません。いわゆるお見合いのように仲人が世話を焼いてくれるわけではないため、企業側に気に入ってもらうための努力が必要です。そのため近年では候補者体験(Candidate Experience、CX)をいかに盛り上げるかがポイントとなり、企業や事業の認知施策から始まって、カジュアル面談で自社が何者かを売り込み、気を引いて応募意思を取るというステップが必須となります。

人材紹介がスカウトサービス化する顧客(企業)満足の違和感

人材紹介がスカウトサービス化すると、前述した介在価値4点がほぼ企業側のセルフサービスになります。そのため、通常の人材紹介と同じフィー(想定年収のn%)を払うことについては違和感があり、いくらか差をつけてもらいたいと思われても自然のことだと思います。「介在価値って何ですか?」と言われても仕方が無いかなと捉えています。

一部元々のスカウト媒体に見られる料金体系の人材紹介化

冒頭の元投稿では人材紹介のスカウト媒体についてのみ話題だったのですが、採用の現場で行くとスカウト媒体の値上がりに対する声が聞こえてきています。

スカウト媒体はいくつかの課金体系があり、下記のものを組み合わせる傾向にあります。

  • 初期費用

  • 月額費用

  • 期間費用

  • スカウト送信通数別費用

  • 成約費用

  • 成約時に年収のn%を請求

特に最後の「成約時に年収のn%を請求」が値上がりが起きており、企業で話題になっています。25-35%以上の媒体も登場しており、人材紹介に近づいてきています。

ここでの問題は「人材紹介ほど介在価値を提供してくれたのか?」というわだかまりです。中には営業担当の方が人力でチャット宛てに推薦しスカウトを促すケースや、採用代行プランがついている媒体もありますが、先の人材紹介の介在価値4要素のうち2要素に該当するかどうかという線なので、何故に人材紹介と同等の成約時フィーを払わなければならないのかという声に繋がります。

たまに「そんなにお金に困っているのか」という声が聞こえてくるのですが、そうではないと捉えています。基本的に根気よく広告が打てている企業は売り上げには困っていないようですので、営業で言うところのトップラインを上げるための値上げに感じられます。

人が居なさすぎて異常な日本の採用市場

候補者からすると別にどうでも良い話ではあります。人材紹介企業でお話をさせて頂く際に伝えることが多いのですが、人材紹介事業やスカウト媒体といった事業の商材は人の人生です。それは候補者の人生でもあり、企業側の行く末でもあります。

私自身、男女のマッチングサービス運営に関わっていた時期が長かったこともあり、候補者と企業のマッチングということにどうしても意識が行くのですが、本来の目的が「幸せなマッチングの創出」であるべきだと考えています。

商売なので売上確保は必要でしょうが、マネーゲームの色合いが強すぎるのが気になります。是非介在価値を意識していただきたいところです。

以前、ある企業さんから「人材紹介会社は身元チェックはしないんですか?」という相談を受けたことがあります。人材紹介経由で入社した人の経歴に嘘があったということです。残念ながら返金期間を過ぎていたため、紹介会社からは何もなかったそうです。人物面の確からしさの担保や、リファレンスチェックが不要なくらいの責任を持って頂けると、高い紹介フィーも多少は溜飲は下がると思うのですがいかがでしょうね。

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