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『ジャムの蓋理論』(上) 〜明日から活かせる身近なリーダーシップ論〜
*読み返すと長かったので上下に分けました。上を無料、下を有料にしました。
『ジャムの蓋理論』とは
「リーダーの資質」をみる基準として自分なりに編み出した理論を紹介したいと思います。
私はこれを「ジャムの蓋理論」と名付けました。
やや胡散臭い名前ですが、私がこれまで経営戦略やリーダーシップ論の本を読み漁ってきて、また四半世紀超の社会人経験や生活実感からみて割と間違っていない気がしています。
もちろん、リーダーシップに対する考え方は人それぞれですから、ある一つの視点と捉えて参考に読んでもらえたら幸いです。
1.ジャムの蓋とリーダーシップ
なかなか開かないジャムの蓋を「厄介な仕事」の例えだとしてください。
蓋は相当かたく手強いです。
しかし周りの人たちが開けようと頑張るうちに、実は少しずつゆるんでいるはず。
だからこそ、最後の人(=リーダー)は蓋を開けられた。
これが一見しては、なかなか分かりにくいのです。
最後に開けた人は、周りの人達の努力のおかげで開けられたことを具体的に想像し、実感し、感謝できるかどうか。
これが、「ジャムの蓋理論」の骨格を成すリーダーの資質を見極めるうえでの重要なポイントになります。
ここで考える理想的なリーダーは、ビジョナリーカンパニーシリーズに出てくる「第5水準のリーダーシップ」を理論的枠組みにしています。
2.リーダーのレベル
以下ではジャムの蓋理論によるリーダーのレベル1からレベル5までを順に説明していきます。
レベル1
周りの人が開けられない事を責めるうえに、かと言って自分でも開けられない。周りのモチベーションを下げ、結果も出せない最悪なリーダー。
レベル2
周りの人が開けられない事に早い段階で我慢できず叱責し、自分で開けてしまう。周りのやる気を確実に奪ってしまうリーダー。結果は出すが、周りのモラールはかなり低くなる。
レベル3
周りの人が開けられない事にイライラしながら、あからさまに怒りはしないが、我慢できずに最後は自分で蓋を開けてしまう。特に感謝せず、自分の手柄にしてしまうリーダー。とにかく結果を出したいタイプ。中長期的視野に欠けている。
レベル4
周りが頑張っているのは理解しているがさほどサポートせず、最後は自分で開け、特に感謝をするでもなく済ませてしまうリーダー。
結果は出すので上司からの評価は高い。しかし組織としてのまとまりがイマイチ。現状維持が基本で新しい価値に挑戦する気風は生まれにくい。
レベル5
やろうと思えば自分ひとりでも蓋を開ける事ができるが、あえて周りの人が蓋を開けられるようサポートに回り、最後に自分が蓋を開けることになってもそれは周りの人のおかげだと感謝を惜しまず、1ミリも自分の手柄にしないリーダー。
単に結果を出すだけでなく、周りの人のモラールと組織風土を、新たな挑戦を恐れずにできるよう極めて高いレベルにまで引き上げる。
3.リーダーのレベルアップは内面のバージョンアップにより可能
似たような理論はリーダーシップ論にすでにあります。
しかし、身近なジャムの蓋で例えると、より分かりやすいのではないかと考えつきました。
実は大規模な組織だけでなく、家族のような小さなチームでも適用できると思いますし、全ての人間関係に言えるような事です。
一対一の夫婦関係や友人関係でも。