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合法移民?不法移民?

世界は移民嫌いの兆候を見せている。アメリカに限った話じゃない。そして、私も外国に住んでいるから、これは全く関係ない話ではない。

そりゃそうだよね。不法移民、怖いよね。自分の国に、不法移民がたくさん来て好き勝手にされたら、そりゃあ腹が立つよね。

それはそうなんだけど。私自身がフランスに住んでから、権利を持った移民か、不法移民かなんて、結局政府の匙加減であって、その判断は決して皆に対して開示されている明白なものではないと知った。
私だって、もしもうっかり延長申請をしないまま自分の滞在許可証の有効期限(来年だ)を迎えたら、その次の日から不法移民である。

きちんと早くから申請をしていても、政府の不手際でまったく便りがないまま期限を迎え、一時的に不法移民になった経験を持つ在フランス日本人の友達も、結構いる。そうすると、もし働いている場合はその日から自宅待機となるし、それだけでなくて、国の不手際でビザが切れた自分の正当性を示すために、国と裁判をしなくてはいけなかったり、とても面倒くさいのだそうだ。

でも、それでも「私たち」はまだ楽な方なのだそうだ。だって、日本人だから。学生のステータスを持ってビザ申請を出せば、時間がかかることはあっても拒否されることはほとんどない。

アルジェリアから来ている同級生は、「私なんて国籍だけで疑われるんだからね!」と言っていた。
アルジェリアからフランスに働きに来る移民の中には、より取得しやすい学生ビザを取得してとりあえず入国しようとする人も多いのだそうだ。
私のクラスメイトはとってもスイートな女の子だが、そんな事情も手伝って、フランスにおける北アフリカ移民への目は冷たいことも多い。

私自身、フランスに住んでから何年か経ち、北アフリカにルーツを持つ人や移民が多い地区で嫌な目に遭ったことも度々ある。「移民」に複雑な感情を持ってしまっているのを、否めない。同じ「移民」として、「受け入れてもらっているのに、そこで周りの人から盗んだり傷つけたりしてはだめでしょう!」と憤る気持ちもある。
周りの在仏日本人の知り合いから「私、移民って嫌い!」という声を聞いたのも、1度や2度ではない。

それでも私が、カテゴリーでひとまとめにして嫌悪する「フォビア」を人に対して向けることが、決して正しくないことだと心に留めておけるのは、さっき話したアルジェリア出身のクラスメイトをはじめにした、北アフリカにルーツをもつ何人かの暖かい友達のおかげでもある。


アメリカ留学中に出会った、中南米にルーツを持つ友達が、インスタグラムを最近更新した。彼女に許可をもらったので、その一部を引用する。

「私は、今年、大学を卒業する予定です。家族の中で初めて、大学を卒業します。より良い未来のためです。私の父と母も、私たち子どものより良い未来のために、祖国に全てを置いて、アメリカにやってきました。そこには何の悪意も含まれていません。
私たちは幸運なことに何年間という時間、何千ドルというコストをかけて滞在許可をもらえたけれど、滞在許可を貰う前は、恐怖の中を生きていました。たとえ大学を卒業してもちゃんと生きていけるかわからないまま、大学進学を決めました。
今、恐怖の中、家から出られなくなっている人たちのために、心を痛めています。

私たちは敵じゃない。犯罪者でも泥棒でも、未知の存在でもエイリアンでもない。私たちはより良い未来を求めてやってきた、あなたと同じ人間です。
移民の人に優しくしてね。これはいつもそうなんだけど、特に今は。」


いつも心に、想像力を。

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