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フランスで若者の孤独感が問題になっているらしい

フランスの大手新聞、Le Monde紙によると、現在フランスでは若者の抱える孤独感が社会問題になりつつあるらしい。
もともと定年後の高齢者が抱えがちなこんな問題が、なぜ今、若者の間で?というのがこの記事の内容だった。
でも、サブスクなしでは途中までしか読めなかった上に、新聞の記事を和訳したものを公開するのは著作権的にもグレーらしいので、ここら辺で記事の内容を書くのはやめておく。

ちなみに記事はこちら。


ここかから先は、私個人がフランスに3年ちょっと住んでみて、この記事について無責任に感じたことである。偏っているだろうし、間違っていることもあるかもしれない。ただ、今の自分が思うことを記録したかったので、興味のある人は読んでくれたら嬉しい。


まず、この記事を読んで「フランスの若者の孤独感が社会問題?当たり前でしょ、想像に難くないわ」と思った。
パリ・シンドロームとはうまく言ったもので、フランスは確かに、初め友達の作りにくい国なんじゃないかと思う。

私がフランスで大学に入学したときも、
新学期だというのに、周りの人からは「友達をつくろう!」みたいな意志をあまり感じなかった。
1年生のはじめの頃はそれで少し寂しい思いもしたが、クラスメイトと時間を過ごすうちに、ちょっと分かってきた。
フランスの人たちには「一緒に時間を過ごしてきた人が友達」みたいに思ってる節があると思う。
「友達になる」じゃなくて、「気づいたら友達」的な。
私も、2年生が終わる頃には、気づけば、それなりに仲の良い子が何人かできていた。

だからフランスの人たちは地元のツレとかもめちゃくちゃ大事にしている人が多い。バカンスや週末の度に、電車で2時間かけて地元に帰るような子も何人もいた。
それゆえになのか、「大学では友達いらないわ」的な雰囲気の人もチラホラ。そういう時は、私は「こっちはフランスに地元ないんですけど!」と叫びたくなったりもする。


また、フランス人の国民性として、「自分が一度手を差し伸べた人にはとことんおせっかい」と言われたりもするらしいが、逆に自分の「内側」に入っていない人にわざわざ優しくしにくる人は少ないかもしれない。

新しくコミュニティーに属したり、友達に誘われて自分だけが初対面の子たちと遊びに行く、みたいなときもそうだ。
別に無視とか意地悪をされる訳ではないが、自分からコミュニケーションを取らない限り「無関心」が続く。
日本でよく見る「この子外国人(新参者)だから話にいれてあげよう」的なマインドをあまり感じたことがない(まあそれくらいで心地よいのだけど)。

最初は、「私が外国人だから孤独感を感じるのかな?」とか「私がフランス語力を上げれば…」とか思っていた。
まあそれもあるのかもしれないが、私がいたのはリベラルな雰囲気の大学、学部だったし、
どうやらフランス人同士をみていてもコミュニケーションのあり方は同じようなものみたいだ、とだんだん気づいた。


典型的だったのは、大学の仲の良い6人くらいでIKEAに行ったとき。
Aちゃんが途中で「私の彼氏も近くにいるみたい。合流させてあげてもいい?」と言って、Aちゃんの彼氏もIKEAに来た。彼氏からすれば私たちみんなが初対面。
お互い「ボンジュー!」とにこにこで挨拶だけしたら、あとは自己紹介なんかも誰もしない。
だからAちゃんが他の子と話している間、彼氏はひとりでIKEAのぬいぐるみと戯れたりしていた。
なんとなく手持ち無沙汰で私が彼氏に、「Aちゃんからいつもあなたのこと聞くよ!あなたも大学生?」とか話しかけ、少し世間話をした(私ったら実に日本人らしい)。
その結果、後日Aちゃんに「彼氏が、まこのことすごく優しい子だったって言ってたよ!ありがとね!」と言われた。でも私は別にちょっと世間話をしただけなのである。

自分がグループの「古参側」、「多数派側」になって、改めてフランスと日本のコミュニケーションの違いを感じた。

それに加えて、上でもちらっと触れたがフランスの大学生は、一人暮らしの子がとても多い。
大都市の大学には周りの地方都市からたくさんの学生が「上京」してくるし、
自分のやりたい学問のためにフランスを横断して大学に入学する子もざらにいる。
私が前にいた大学では、60人くらいのクラスメイトの中、私の知る限り実家暮らしは2人いなかった。しかもそのうちの一人は飛び級で大学に入っている、まだティーンエイジャーの子だった。

地元から離れて大学に来て、なかなか友達も出来ないんじゃあ
そりゃあ、孤独感も感じることだろう。

しかもフランスでは9月に新学期を迎えたらあれよあれよという間に季節は急激に冬に向かい始め、
寒さとどんよりとした天気が何ヶ月間も町を覆う。
北欧ほどではなくても、フランスでも冬季鬱はそれなりに深刻な問題だ。
私はフランスに来て、「私が東京で過ごしてきた冬なんて冬ですらなかったんだな」と思った。
余談だが、私は冬に日本に帰るたびに太陽がぽかぽかしていて嬉しいので「コートいらないじゃん!」と薄着で出かけようとして、母に怒られる。


いろーんな要因で、日本でやっていたようには友達ができず、孤独感を感じやすいフランス生活。

まあ、何が言いたいかと言えば、
過去の自分ないしフランスに来たばかりで「友達ができない…」と悩んでいる人がいたら、
「そのうちできるよ、気にしないで」ということかな。






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