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世界中の子ども達に

小学生の頃、私は、近所の4.5歳の小さな女の子とおうちの中で遊んでおりました。
私は、同級生と遊ぶ事も好きではありましたが、
ずっと歳下の子ども達と遊ぶ事も、大いに好きでありましたので、毎日のように、近所の小さな女の子達が、小学校から帰った私のおうちに遊びに来ておりました。
それは、中学生になった頃も続いており、
私は、母親に『いつまでも、小さな子ばかりと遊んでいてはなりません』と言われたものです。

その日は、お絵描きをしたり、物語をお話ししたり、ぬいぐるみのお世話などをしたり、
そんな遊びをしていたと思います。

しばらく遊んでいますと、
小さな女の子は、可愛らしいピンクの花柄のポシェットの中から、少し大きめの、水色のヒダの入った透き通るビー玉をポシェットから出しました。
そして、その透き通る水色のビー玉を私に差し出してこう言うのでありました。

『世界中の子ども達に、このビー玉を届けて』

はて、どうしたら良いでしょう?

私は『分かりました』と言って
女の子から水色のビー玉を受け取りました。

その日の夜、女の子から預かった
水色のビー玉を机の上で眺めながら、私は考えておりました。

次の日、私はある場所へと向かって歩いていました。

『世界中の子ども達に、このビー玉を届けて下さい』

家の近くの、小さな神社のお賽銭箱の横に、ビー玉を置いて、お願いしました。

あれから、三十数年余り経ちますが、
世界中の子ども達に、透き通る水色のビー玉が
届いていますように、
私はいつまでも、いつまでも願い続けているのであります。

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