【ショートショート】3週間後の未来人
家に帰ると自分が座っていた。
「おかえり」
いや、おかえりじゃなくて。これは一体どういう状況なんだ?
余りにも現実からかけ離れた現象は、驚きよりもより冷静さを与えることが分かった。
「……ホントに俺…?」
「うん。ってかそれは俺自身が一番わかるだろ」
まぁそうなんだけれども。
くしゃくしゃの頭に、特徴的な鼻。少し笑った時に出る右頬のえくぼ。
誰がどう見たって俺自身だった。
「俺は、未来から来たお前だ」
一度言って見たかったんだと言わんばかりの、決め顔でこちらを見つめる自分。
未来…?そんなこと急に言われても到底受け入れられるものでは無いが、目の前にいる自分がそれを証明している何よりの証拠であると感じる。
「未来って言っても、見た目が全く同じじゃないか」
「それはそうだ。だってつい3週間後の未来から来たんだ」
ぽかんとする自分に指をさして「俺のことだから俺が一番わかるぞ!なんだそりゃ!って思っただろ」と笑いながらはしゃぐ。
――—―まぁ…でも、いいか。
3週間後の自分がこうして笑えて、元気にしていることが分かるだけで、明日もまた頑張れそうだ。