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⑨悲しい出来事

店員の地元で、小さなお店を始めた。
昔、働いていた時のお客さんが沢山来てくれていたんだと思う。
店員が毎日の売上を持って帰って来て、私が帳簿を書く。
開業資金の返済は、月々いくらだったかもう忘れた。
年度の途中に引越しをしたので、子供達は保育園に入れなかった。
次の4月まで半年間、自宅で保育した。

お店は最初順調だったが、なかなか売上が上がらない日もあった。
だけど、なんとか生活は出来ていた。
早朝、目が覚めると帰宅した店員は一服しながらだいたい映画を見ている。
店員のそばへ行き、私も分けてもらう。
3人目を妊娠した。
これで気合い入れて仕事頑張ってくれるかな。私は期待した。
朝方、いつものように帰宅した店員と子供達が起きるまで同じ時間を過ごす。
子供が起きたら朝の挨拶をして店員は寝る。
私は急にお腹が痛くなって来た。
子供達はクリスマスプレゼントのゲームを2人でしている。
店員は昼過ぎまで起きないから、横になりながら耐えた。
痛すぎて立てない。
店員が子供達を実家に預けに行き、私はタクシーで産婦人科に行った。
エコーで様子を見てみると、赤ちゃんは元気に動いている。
しかし、痛みが止まらない。
病室で様子を見るが、トイレにしょっちゅう行きたくなる。
行くたびに、血の混じったようなおりものが沢山出ていた。 
何度目かのトイレで股の間から、何かがドボンとトイレに落ちた。
私は怖くなって、看護士さんを呼んだ。
病室で待つように指示され、呆然としていた。
看護士さんはそれを拾い上げ、先生を呼んだ。
卵膜に包まれた赤ちゃんだった。
妊娠12週、後で先生に写真で見せてもらったが、卵膜を切り開いた中にいた赤ちゃんはちゃんと人の形をしていてとても綺麗だった。

たまにお店が臨時休業をしていると、お客さんから教えてもらう事があった。
売上が伸びない。
と言うか、持って帰って来たレシートや領収書を見てみると、店を早く閉めて飲んで帰って来てる事があった。
たまに、毎月の返済が足りない事がある。
少しずつ、色んな支払いが大変になってきた。
4月になって、子供達は小学校と保育園に行き始めたので、私は仕事を始めた。
店員はお店の家賃を払うからと私の給料を持っていった。
生活費の足しにしたくて仕事を始めたのに、お店の資金になった。
回らなくなっている。
家の家賃も危うい。
この頃、お金の話でケンカする事が多くなっていた。
子供達を送り出してから、寝ようとしている店員にお金の事で話しかけた。
この日の店員は酔っ払っていた。
具体的な話は覚えていないが、お金の話をしてきた私に腹を立てて、怖い口調で返して来た。
私も負けずに言葉を返したと思う。
そうすると、私の髪の毛を掴んで部屋から廊下に引きずり出された。
そして、壁の方へ私を倒し持っていたお店の釣り銭袋で頭を何度も殴ってきた。
小銭が沢山入っていて重みがあり、凄く痛い。
怖くなって、隣の和室に四つん這いで逃げ込み、背を向けて丸くなった。
和室まで追いかけて来たが、そこで暴力は終わった。

次の日は仕事だったが、おでこや目の上が赤く腫れて出勤出来そうになかった。
会社に欠勤の電話をしたいのに、携帯が止まっている。
近くの公衆電話まで行き、欠勤の連絡をした。

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