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令和4年司法試験刑事訴訟法再現答案

設問1  おとり捜査とは、捜査機関又はその協力機関が身分を秘して相手方に働きかけを行い犯罪の実行を待ってから対象者を逮捕する等の捜査手法を言う。本件では捜査機関Pら及び協力者Aがその身分を秘して甲に大麻密売の働きかけを行いその実行を待って甲を逮捕しているからおとり捜査にあたる。捜査の適法性についてはまず強制処分該当性が問題となる。 1「強制の処分」(197条1項但書)の意義については、強制処分に向けられた法定主義・令状主義等の法的効果の重さと、現に法定されている強瀬処分の手続

    • 令和4年司法試験刑法再現答案

      設問1  横領罪の保護法益は所有権及び委託信任関係にあるから、「自己の占有する他人の物」とは委託信任関係による占有であることが必要となる。甲はAに頼まれて「他人の物」たる本件バイクを「占有」しているため「自己の占有する他人の物」と言い得る 1⑴の主張の当否  これは、Aから頼まれて本件バイクを保管するという委託信任関係がある以上、Aが本件バイクにつき無権利であることは問題とならず、甲に「自己の占有」が認められるとする主張であり妥当である。現代社会においては財産保護のために財産

      • 令和4年司法試験民事訴訟法再現答案

        設問1課題1  当事者確定基準としては、当事者らしく行動した者を当事者とする見解(行動説)、訴状の一切の記載を考慮して判断する見解(表示説)等がある 1 甲を当事者とする見解(行動説)  訴訟は実体上の権利義務の存否を争う場であるところ、訴訟において相手方の主張する請求原因を認める行為は、それにより訴訟で争われている権利義務の存在が判断され、自身が義務を負う事を導く行為であるから。そのような行為を行う者は当該訴訟に当事者として積極的に関与している者と評価でき、よって被告として

        • 令和4年司法試験商法再現答案

          設問1  Dは甲社に対し、339条2項により賠償請求するか、350条により賠償請求することが考えらえる 1 339条構成  同条の趣旨は、会社の役員解任の自由と、役員の職務報酬への期待との調和を図るべく会社の特別責任を定めた点にあるから、専ら「正当な理由」の有無が問題であり、会社側の故意過失は問われない。  まず、本件ではDとAらの意見が対立していたという事情があるが、これは「正当な理由」足りえない。役員は会社利益のために率直な意見交換をする必要があり真に自らの意見を発現する

          令和4年司法試験民法再現答案

          設問1⑴  CはAに対して所有権に基づき甲明渡を請求する。その要件はCの甲土地所有とAの甲土地占有であり、後者に問題はない。  Cは契約②により甲所有権を取得したと主張する(555条176条)。もっともAB間の契約①は虚偽であり、Bは実際には無権利者であるから、Bからの譲受人Cも所有権を取得しないのが原則である。ただ本件ではCはBの下に甲土地登記があることを契機に契約②を締結したと考えられ保護されないか。  本件でAB間に通謀はないから94条2項を直接適用できない。ただ同条の

          令和4年司法試験民法再現答案

          令和4年司法試験倒産法再現答案

          第1問 設問1⑴  債権②は、Cが「破産者(A)」に対して有する「財産上の請求権」であって、CAは従来から原材料の継続的取引を行ってきていたから、債権②は「手続開始前の原因に基づいて生じた」債権と言える。よって債権②は「破産債権」(2条5項)である。  破産債権は手続内行使しかできないのが原則である(100条)が、実体上の相殺への合理的期待を保護すべく、一定の場合には手続外での相殺を認められている(67条~)。破産債権者であるBは手続開始当時Aに債務を負担していたものの(67

          令和4年司法試験倒産法再現答案

          令和4年司法試験行政法再現答案

          設問1⑴  「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)とは、当該処分により自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害される恐れのある者を指し、不特定多数に帰属する具体的利益を専ら公益に吸収させるに留めず、それが帰属する個々人の個別的利益として保護する趣旨をも法が有するときは、その利益をも含む。EFは処分の名宛人ではないので同条2項を考慮する。 1Fについて  Fは本件沢沿いに居住し生活用水等として利用する者として、生活環境に係る利益を主張する。 本件許可の

          令和4年司法試験行政法再現答案

          令和4年司法試験憲法再現答案

          設問1  そもそもXが憲法を踏まえて丁寧に説明したいと考えたのは、決定①がYの学問研究の自由と、決定②が教授の自由と、それぞれ抵触しうる恐れがあるためである。23条は学問の自由を保障しており、その中に学問研究の自由と教授の自由が含まれている 1 決定①  まず、Yの行為は研究の自由としての保障範囲外である。ポポロ事件判決は、当該行為が純粋な学問としてではなく、実社会の政治活動と関連する場合には、学問の自由としての特別の保障を受けない旨判示した。「Y研究室」はYの政治的意見表明

          令和4年司法試験憲法再現答案