22.4.6
ここ数日はせっせと引っ越しの準備をして過ごしている。
今日は不用品を選別し、引き取り業者にもっていってもらい、午後は役所へ行き、引っ越しに必要な手続きを済ませてきた。
5年も住んだ土地を離れるのには、それなりの労力がいる。
これから先のことが決まっていないので、やることがあるのはありがたい。
夢叶い、動物園の飼育員として過ごしてきたが、これからはそのような肩書きもなくなった。
何者でもない状態である。
肩書があることは精神的な安らぎをもたらす。反面、その肩書に頼り、自身は何者なのか考えず、そのことに後ろめたさを感じていた面もある。
自分は飼育員としては異質であった。世間が考える飼育員像とは、かけ離れていたと思う。例えば、動物は好きだが、愛していない。興味の対象である。飼育の作業もさほど好きではない。もちろん、しっかり飼育はするし、尽力は尽くしてきたつもりだ。しかし、のめり込みはしない。
自分は、動物園という場の中で人が世界を広げていく様を見たかった。その手伝いがしたかった。知性がスパークする瞬間に立ち会いたかった。
どれほどそれが成し遂げられたのかは分からない。あまり自信もない。
肩書がなくなった自分は何者でもない。自分にはなにができるのだろうか