組織行動を学ぶ ケースメソッド「増員を渋る上司(A)(B)」
始まりました。名古屋商科大学ビジネススクール、就職・起業・転職・復職支援のためのMBA入門プログラム、女性キャリア支援コース。
3つの授業と1本の論文執筆からなるこのコース。1つ目の授業では「組織行動」を学びます。授業タイトルはその名も「職場での時短勤務者」
女性キャリア支援コースでは1つの授業が3日に分かれ、1コマ2時間×3日=6時間となっています。
授業は1週間ごとに1回あり、1コマづつ「ケース」と呼ばれる論文を読み、ケースクエスチョンと呼ばれる、問題に回答します。
今回の授業では前日の12時までにGoogle クラスルームへ各自が回答を提出とのこと。
1回目の授業というのもあり、女性キャリア支援コースというのもあり、子持ちの育休者が多いためか、3本とも短めのケースだったと思います。課題図書もなかったし。
とはいえ、今回の組織行動、内容がなかなかエグくて(笑)女性でキャリアを積んでいきたいと考えている人にはグサグサささるケース内容でした。
ケース「増員を渋る上司(A)(B)」
初日は2パターンの時短勤務者について取り上げました。
パターンA要約
飲料品メーカー研究職のさくら。第一子出産後時短勤務にて働いている。職場では同僚のサポート業務が増えていた。自分は納得しつつもサポート業務は評価対象にならないという不満がある。サポート業務を行うことで同僚や上司からの評判は良いが、一部の派遣社員からは保育園の急な呼び出し等で一部の仕事が遅れることに快く思っていない人もいる。
希望としては実験に携わる仕事をしたいと思っているが、実験のためにまとまった時間をとることは難しい。上司の面談の際にサポート業務の人員を増員してほしいと相談したが…上司は渋い顔をした。
パターンB要約
さくらと対象的に、上司である課長阿部視点からみたさくらを記載。
阿部自身、復職者を迎えるのは初めて。阿部の妻は専業主婦であるため、家事・育児を行いつつ仕事を行う働き方がイメージできない。
さくらが時短勤務を申請したことで、いままでどおりの業務量を短い時短勤務時間内で行うことは不可能だと考えている。
育児中の社員が時短勤務が時短勤務を申請するのは、短い時間しか働きたくない、早く帰って子供との時間を過ごしたいと思っているのであり、仕事のモチベーションは低いのだと思っている。そのため難しい仕事や責任の大きい業務を任せても嫌がられるだけだと思っている。
さくらからサポート業務の増員を相談されたが、さくらが基幹業務を行っていないおかげで高コスト体質になっている上に、人員の増員を行うとさらに売上が増えない状態になる。思わず阿部は渋い顔になってしまった。
ケースクエッション
①部下さくらと課長阿部をあなたはそれぞれどう思いますか?
②この会社がダイバーシティ経営を真剣に追及しようとしている会社であったら、社長もしくはダイバーシティ責任者は課長阿部・さくらにどのような対応行動を求めますか?
という内容でした。
正直、一人目の育休復帰後、同じような状況に立たされた身としては心臓がえぐられる想い…(笑)
ケースクエッション②に書かれているように、自分の立たされている状況を一つ上の階層から見下ろしてみるというトレーニングのようです。
MBAの授業を受けるメリットの一つに自分の状況を客観的に見ることができることだと思います。一つ視座を上げて、木ではなく森を見る訓練を行う場所だと私は思っています。
今回の授業もクラスディスカッションで一つ上の目線で分析していきました。
予習での気づき
改めてダイバーシティ経営ってなに?と思い調べてみました。
ダイバーシティ経営とは?
企業競争力の強化を図るための施策。多様な人材を活かし、その能力を最大限に発揮できる機会を提供することでイノベーションに繋げる。
その背景には
①労働力人口の減少
②価値観の多様化、人材流動性の高まり
③グローバル化
という課題がある。
ダイバーシティ経営のメリット
①ダイバーシティとイノベーションには相関関係がある(BCG研究結果)
②企業の環境変化につよい(クレディ・スイス調査結果)
③採用、雇用力の強化(PwCコンサルティング調査結果)
https://www.adecco.co.jp/client/useful/201030_diversity
なるほど。単純にES(Employer Satisfaction)を向上させるだけだと思っていた(笑)多様な組織にすることでイノベーションに繋げるんですね。
講義の気づき
まずはクエッション①部下さくらと課長阿部をあなたはそれぞれどう思いますか?に対して、課長阿部のケース、部下さくらのケースそれぞれに擁護派・批判派と分けてディスカッションを行いました。
まずは課長阿部の分析から。
おもわず課長阿部に批判的な声が上がりがちなところ、企業でのマネジメント経験がある講師からこんな声が。
「あえて擁護派の話をするならば、自分の経験も踏まえ、チームメンバーに期待しないという考えは課長は取りづらいと考えます。しかし行動は伴っていない。このギャップはどこから生まれたのでしょうか?」
課長阿部のさくらへの期待は、どこで減退したのか?ここがキーポイントの要です。
・育休復帰明けのさくらに無理をさせるリスクを考えた?
・リスクを考えたにせよ過剰な配慮だったのでは?
・さくら以外にマネジメントしなければいけない部下の数が多かったのでは?マネジメントの限界?(スパンオブコントロール)
など様々な意見が出ました。
次に部下さくらの分析です。
部下さくらに対して講義参加者が同じような状況のためか、批判派が結構多かったです(笑)
またもや講師から「あえて擁護するとしたら、さくら自身、乳児を抱えての復職であるためもっとも中長期的なビジョンを語りにくい時期ではあります。
また子育て中の社員が理想とする組織では働いていないという厳しい現実があります。」とのこと。
これらの状況を踏まえて、
クエッション②この会社がダイバーシティ経営を真剣に追及しようとしている会社であったら、社長もしくはダイバーシティ責任者は課長阿部・さくらにどのような対応行動を求めますか?
の分析に移りました。
ここでは敢えて私が調べたような教科書的な「ダイバーシティ経営」ではなく、それぞれの講義参加者が思う「ダイバーシティ経営とは?」ということについて議論しあいました。
これが重要だったと思います。
組織学だけではなくMBAの授業にありがちなんですが、教科書に書かれていることを読むだけではダメで。そこから何を自分が考えたか、実際の現場にどう落とし込むのか?が大事です。私の予習は学びはありましたが、今回は自分の意見(生っぽい意見)が大事とのこと(笑)
クラスで出た意見はこんな感じでした
・組織の強さ、多角的視点→環境変化に強い組織(リスクヘッジ)
・色んな人材が働きやすい、無駄がなく生産性が高い
・労働人口減
・備える活動に対するメッセージ
・一様な労働者(男性・定年まで雇用)を前提した経営だった
・最初は効率悪いけどダイバーシティ経営を進める必要がある。長期間かかる。出鼻をくじかれがち。
そもそもマネージャーってなんでしょう?と講師からの問い。
Manage to do ~ (どうにもならないことを)どうにかする、
つまり「成し難きを成す≒何もしないと何も進まない」ということです。
つまり手間をかけなければ何も進まない、手間をかけることが自体がマネージャー自身に求められる責務ですと。
とはいえ、昨今の組織の状況は組織階層が減り、またダイバーシティ経営を推進することからマネージャーの負担は20年前と比較すると数倍以上です。
今後もマネージャーの負担は増加の一途を辿るでしょう。
この状況下で課長阿部から見てさくらに手間をかけるとき、手間をかけてどんなリターンが返ってくるのか?を考えます。
課長阿部は手間をかけたリターンを具体的に理解できるでしょうか?
また今後ますますマネージャーの手間の奪い合いが加速します。
さくらの立場から、さくらの想いは課長阿部にどのように映っているでしょうか?
さくらはこのような状況を踏まえた上で、どのような行動をするべきでしょうか?
という分析に移りました。
ここもキーポイントだったと思います。
フロンティアさくらになるためには
全員でフロンティアさくらになるための具体的なアクションを議論しました。
ディスカッションの中で出た意見の中で特に
・個人の成果→チームの成果
・今できることをやる、今やっていることがゴールへのマイルストーン
・阿部課長以外に誰かが見てくれている、自分から仲間を見つけに行く
・それでも違うならば他のキャリアを考える、社内外の視野を広く持つ
というところが勉強になりました。
また、最後に講師からのアドバイスが心に刺さりました。
「会社での評価、業績評価ということがこのケースでも幾度となく問題になりました。
サポート業務は会社から評価されないけど
自分で自分を評価する評価軸を持つことが大切です。
この会社の現状での評価と、チームに貢献している現実とのギャップをどう乗り越えるのか?を考えることも大切です」
とのことでした。
次はDAY2をまとめます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?