白すぎる恋の向こう側【創作】

白すぎる恋のこちら側で、僕はいつだって黄昏れていた。幸せな、時間だったと思う。何もない瞬間だとしても、ただひたすらに夢を見ていたあの頃は。夢のように煌びやかな一時が、続けば続くだけ良いのだと、思いながら僕は、そこにいたのだ。

彼女の淫らな姿が送られてきた。僕の知らない人から。急に。スマホに。リンク先を開くと、全裸の彼女が涙を流していた。泣きながら、嬉しそうに、叫びながら、白い肌と引き締まった太ももと、透き通った視線を曇らせながら、きもちいいきもちいいと叫んでいた。どうして知ってるの? ねぇどうして? どうしてそんな気持ちいいところ、知ってるの?

ふふふ、ははは、と僕は笑った。笑うしかなかった。笑いながら泣いた。美しい幻想が、いつまでも続くと思っていた。何も知らなくていい。何も知る必要はない。誰がその動画を送りつけてきたのかも、知らなくていい。何も意味がない。僕が本当に好きだったその人の、僕が本当に黄昏れていたその場所の、リアルな姿なんて、知らなくて良かった。

僕はいつまでも、いつまでも動画を見ていた。何度も何度も繰り返し見ていた。僕は興奮し、胸が高鳴り、張り裂けながら射精していた。僕は暗い部屋にこもり、汚い感情と崩れた世界に憤り、そうして見事に死んでしまった。

彼女の向こう側は、黒々と穏やかだった。

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