事務職はAIによって淘汰されるのか?【AI時代の事務スキルとDXコンサルのお仕事】
こんばんは、まじこじまです。
今日は昨日お休みした分、2本建てで記事を書いています。
このお話をするのは、BPR(業務改善)のお仕事で入っていたとある企業の事務部門で、若手の女性社員から「事務って将来なくなるんですか?」と聞かれたのがきっかけです。
2018年に、この本が結構話題になりまして、ちょうど初めて転職をしたのが2018年から2019年にかけてだった私も読みました。
この本の中で、ホリエモンと落合陽一氏が「10年後に消えるであろう仕事のリスト」を具体的に挙げているのですが、その筆頭が「事務職」でした。
データ入力や書類整理などのルーチンワークは、AIや自動化技術で簡単に代替されるため、消えるリスクが高いと本書では述べられています。
本が出版されてから6年、さて中間結果はどうでしょう。まだまだ、消えてはいないですね。ただ、私の支援領域の一つであるDXコンサルはまさしくAIやRPA等の自動化技術で人の手で行っている仕事を代替することなので、私もそれに最前線で加担しているといえます。
さて、冒頭の問いである「事務職ってなくなるんですか?」に対する答えですが、これを実際に事務の自動化に携わっている私目線で申し上げると結論は以下の通りです。
あと10年は少なくとも食べては行ける
ただし「只の事務職員の給料は上がらない」
ITツールを「使える」事務経験者は価値が上がる
ITツールの「導入に携わったことのある」事務経験者は大化けする
これらが、向こう10年の間に起きる変化だと思います。
ここから先は、忖度なしで話していきます。
女性差別とか、職業差別とかいう声は無視します。
実態に基づいて話すからです。事実以外の綺麗ごとに価値はないので。
事務職正社員が持つべき意識について
企業の事務部門は女性が多いです。それも若い女性が多くいます。
実際問題、女性はライフイベント(結婚・出産・育児等)の理由から、やむを得ないというよりも自ら内勤職を希望する傾向が強いので、企業の事務部門は自然と女性が集まる部門になっていることが多くあります。
よって、今回の話は「女性のキャリア形成」にも深く関わる話になります。これはあくまで統計による話なんですけどね。
さて、事務職でお勤めしている社員本人が「事務ってなくなるんですか?」という危機感を持つのは良い事だと思います。これからの時代どんどん肩身が狭くなる職種なのは事実で、自分で将来のキャリアを真剣に考えた方がよい職種なのは確かだからです。
なぜならば、限られた人手、限られた人件費を事務職に回していくのは経営者としては苦渋の決断だからです。
個人事業主やスタートアップの企業は、会社が大きくなるにつれて必ず直面する問題です。「そろそろうちも間接部門をつくらなきゃいけないのかな」
人事、総務、財務、経理。
間接部門は会社にとってなくてはならない存在ですが、一方で無くしたい存在でもあります。売り上げを生み出すのに無関係な、しかし企業が多数の従業員を雇用して集団として生きていくためには必要不可欠な存在。
売上に直結しない社内事務の部門を肥大化させたいと思う経営者はいません。売上に直結しない分「いかにコストを増やさずに安定して会社が存続する基盤として機能し続けられるか?(利益を生み出す部門が利益を生み出すことに集中できる環境を作れるか)」が、事務職の担う役割であり、持つべき意識です。
DXコンサルタントの仕事
そんな中、私の仕事はBPR・DXコンサルタントをしていますが、今やっていることはとどのつまり「業務の自動化」です。
業務をAIやロボットの力で自動化する。あるいは、アウトソーシングも広義で言えば「自動化」です。発注する側からすれば、「お願いしたらやってくれる仕組み」を作るという意味では大差ありません。
アウトソーシング会社の現場でも、人手が足りていないのが現状なので最終的にはロボットやAIの力を借りることになります。
自動化しやすい業務の3条件
自動化しやすい業務には3つの条件があります。
明確なルールや判断基準が設けられている
手順が定型化されている
全ての作業がPC上で完結する
これらを聞けば、事務の仕事をしている人はぎくっとするかもしれません。自分の仕事が、まさしくロボットに置き換えられやすい仕事かな?と思うはず。コンサルに入ると、よく言い訳される(仕事の聖域を守ろうとされる)のが、「いやいや、状況に応じて色んな処理のパターンに分かれるから大変なんですよ」と反論する人がいますが、判断の複雑さや分岐の量は関係ありません。
むしろ
「こういう場合にはAという処理をする、その中でもこういう場合はBの処理をする」
という分岐の量が多いほど、経営はその部門の業務課題をいち早く解決すべきと考えた方が良いです。(私のような人間を投入した方がよいです)
なぜならば、そうやって判断の複雑化している業務は
ミスが起こり易い
属人化しやすい(ベテランしかわからない)
新人が離れていきやすい
からです。身も蓋もないことを言うと、一般事務職の給与は総じて低いです。給与が低いのに、難易度が高くて複雑なルールを覚えなければいけない会社の事務職など、誰がやりたがるというのでしょうか?
売り手市場のいま、仕組みが整っていて考えなくて済む会社の事務職を探して転職した方がずっと楽ですし、総じて「事務職が仕事をやり易い会社」の方が利益が出ていて給料も高かったりします。転職先を見つけるのも簡単です。
こうして人が辞めて行って崩壊する前に、IT・DXコンサルタントが必要になってくるわけですね。
DXコンサルタントの仕事の流れ
私の仕事の流れは、次の4STEPで進みます。
業務の可視化
分解
評価
再構築
従業員に業務の聞き取りをしたり、
マニュアル(無いところも多い)読み込み、
実務作業の見学や実際にやってみて覚えたり
これらで業務の内容を見える化して、作業手順レベルまで分解します。
(もちろんレポートを作ります)
そして分解したそれぞれの作業工程に対して
ECRSの4原則というのを当てはめて評価し、
業務改善の方向性を検討します。
E(Eliminate / 排除)
不必要なプロセスや作業を取り除くことを指します。無駄な手順や不要な活動を削減し、業務をシンプルにします。C(Combine / 結合)
複数のプロセスや作業を統合して、一度に効率的に処理できるようにします。これにより手間を減らし、作業効率を高めます。R(Rearrange / 再配置)
作業の順序や手順を見直し、より効率的な流れに変更することで時間やコストを削減します。プロセスの最適化が目的です。S(Simplify / 簡素化)
作業手順を簡単にして、誰でも短時間で作業をこなせるようにします。複雑な工程や手順を簡略化することが重要です。
最後に、持てる知識やゼロベースでの業務再構築を含めて効率的な業務フローを作り上げる。その中に当然IT・DXツールの導入も検討する。
完全に人の手を離れて自動化できるならそれが1番将来のためです。
なぜなら、日本でこれから先、働き手が余ることは無いからです。
そうなると最後に、経営者の方や責任者の方と一緒に頭を悩ます問題が出てきます。
「もともといた事務職の従業員に、何をやらせますか?」
解雇はできない。しかし、自動化の先には「そのままではやる事がなくなる」という現実が待ち構えています。
生き残りたい事務職員や経営者の方への提案
忖度ゼロの現実
私は、事務職員も生まれ変わる必要があると考えています。これだけ時代が移り変わっていく中で、自分たちが何も変わらずに今までと同じ仕事があると思うのはさすがに甘いでしょう。
もちろん、そのままでも延命はできます。なぜかというと、日本のDXの進み具合は頓挫していて、理由は
テクノロジーの進歩に人間が追い付いていないからです。
みなさんの会社にいませんか?
経費の精算方法とか、新しいシステムに変わったのにグチグチ文句を言って、楽になったはずなのに昔ながらの方法でしか受け付けない人。
いくら時代がAIだロボットだ自動化だといっても、全ての会社で働く全ての従業員が同時多発的に明日からそのテクノロジーを使えるようになるわけではありません。大企業の方が動きは早く、中小企業でIT導入が遅れているところにはこの先も10年、20年と事務職は残り続けます。
ただ、キャリアアップや待遇の面で見たら、贅沢は言えなくなります。
事務作業だけができる人の給料は上がりません。都内のアラサーOLさんでも年収200万円台手取り14万円とかで、アルバイトレベルの給与しか貰っていない現実があることを私は知っています。でも実際…言い難いのですが
毎年4月になれば新卒という「低単価」で「素直に」働いてくれる人たちが人財市場に供給されてくるのだから、10年働いていてもマニュアルに則った事務作業をするための要員にはいくら文句を言われても給与を上げてもらえず、辞めようとしてもとくに引き留めで条件交渉もしてもらえないのは合理的な考えに基づいたらそうなる、と思います。
変化しないのであれば、事務職員は若くて安い労働力に自然淘汰されます。
新卒なら、また初任給の20万円とかで働いてくれますからね。
ではどうしたらいいのか?
別の職種へキャリアチェンジするのでなく、今の時代に事務職がキャリアアップする方法は1つです。
論理的思考力とITツールの知識を身に付け、確かな知識と実務経験を元に次世代の事務業務を運用するor設計する人になる事です。
経営者やDXコンサルタントが今現場で働いている事務職の社員に猛烈に期待するのはそれです。
現状の課題として、どれだけITツールが導入されようとも、実際の現場において既存のルールや作業手順を知り、リスクをコントロールしながら新たなやり方での業務を「定着」させられる人というのは実務経験のある人です。
DXコンサルタントが貴重なのは、ただITツールの理解が深いだけのエンジニア上がりで転身すると、事務の実務経験が乏しく会社に合わせたカスタマイズはできないし、現場の悩みも知らないから営業もコンサルもうまく提供できない。事務職員の話を聞いても「作業内容がわからない」人にコンサルティングは進められないのです。
DXの主戦場は事務です。事務の仕事を知っていることは強みです。
しかし、事務職社員の多くは変化を嫌い、主体的に提案する人は殆どいません。
具体的にこれらの行動を現場でとれている事務職員は非常にセンスがあり、社内でDXの実現を仕切れる素質があります。
業務のマニュアルを率先して作る
全員が利用できる管理帳票をエクセルで開発できる
社内からの問合せを集計してFAQに纏めておく
こういった「部門内で業務を論理的に課題解決しようと取り組んでいる人」はBPR(業務改善)のセンスがあります。
その上で、現在流行しているITツールの多くは社内導入後の実装については「ノーコード」が主流(プログラミングやコンピュータ言語は要らない)
触ってみることに抵抗さえなければ、本来は「情報システム部」に丸投げするのではなく、「実際に運用する部門」の誰かが運用し、片っ端から色々なめんどくさい業務を自動化するシナリオを作っていく…という方が正規の使い方に近いのです。
現場の仕事を理解している人が導入に携われば、私のような外部コンサルタントがいちいち根掘り葉掘り業務内容をヒアリングする工程は丸ごといらなくなるのですから。
事務×ITで大逆転の転職無双が可能
今ITツールをいじれる人の需要は高いです。
社内でITツールの導入に携わった経験
社内でRPAのシナリオ作成に携わった経験
これらどちらか×事務部門での実務経験3年くらいあれば、ただの事務職から「ITコンサルタント」へ転身することが可能です。
年収250万円レベルから一気に600万円~1000万円レベルのジャンプアップも不可能ではないです。転職市場でもしばらくの間は無双できます。
フリーランスサイトでも、RPAのシナリオが書ける人は高単価の案件を受注できます。
今いる会社の、自分の部門でRPA導入が始まったらチャンスと思って構いません。手を上げて関わらせてもらいましょう。
職務内容も、「事務部門の改善」です。
自分が悩んだり不便に感じていた業務課題を解決していく仕事なのだから、やりがいも大きいでしょう。もちろん、成果は求められますが…
まとめ
いかがでしょうか?AIや自動化技術のの発達によって事務職は消えると言われていますが、逆転の発想を持つことも大事だと思います。
事務職は消えると言われて消えゆくのを待つのではなく、
事務職を「消してゆく」ことに価値があるのであれば、
最も良く知る自分が「どうやったら消せるか」もうまくできるはずです。
そしてそこに、高い需要とそれに見合った報酬があります。
DXコンサルまでいかなくても、業務プロセス改善(BPR)領域でも仕事はいま引っ張りだこ。「業務のマニュアルを作成して欲しい」という、これから事業拡大フェーズの会社は沢山あり、事務職として経験を積んだ人が本来特異な分野での需要が拡大しています。
主体的に問題解決に取り組むことで、事務職としての自分の価値を上げるチャレンジを始めてみてはいかがでしょうか。
「業務の自動化をやってみたい!」と声を上げる事務職の正社員が居たら、あなたの上司や経営層は高く買ってくれると思いますよ。
加えて管理職や経営者の方がもし読んでいたら、みんなと横並びの給料でもそういう動きをしている事務職員がいたりしますが、そういう人は宝なので、給料上げてでも囲い込んでおきましょう。
👇この記事が参考になった方はぜひ
👇スキ!とフォローをお願い致します。